内容説明
夏の夜に出会った父より年上の男は私を見て「でかくなったなあ」と笑った。女に刺された腕から血を流しながら。―あのひとを知らなかった日々にはもう戻れない。
著者等紹介
千早茜[チハヤアカネ]
1979年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2008年、「魚」(受賞後「魚神」と改題)で第21回小説すばる新人賞受賞。09年『魚神』で第37回泉鏡花文学賞受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
370
千早 茜は、新作中心に読んでいる作家です。『神様の暇つぶし』とは、「大人の有名カメラマンの慰み者にされ、ティッシュのように投げ捨てられること」or「風前の灯の消える前の瞬間のパッション」のどちらでしょうか? 【読メエロ部】2019/09/21
kou
270
藤子と全の一言では表現出来ない関係に、ドキドキが止まらなかった。凝縮した密度の濃いラブストーリーだったと思う。ちなみに、読んでいると、妙にお腹が空いてくる気がする(笑)。2019/09/28
fwhd8325
200
前半、やや退屈な思いで読んでいたのですが、何でしょう、次第にざわざわし始めます。息苦しいような、体が熱くなるような感覚です。今までにも近い設定の物語は読んできたと思います。しかし、この物語は、すごいと思いました。感情の高ぶりや匂いのようなものを感じます。新年早々、すごい小説読んでしまったと思います。2020/01/05
tetsubun1000mg
190
20歳の女子大学生が主人公なのだが、人物設定を背が高くて男っぽい性格としている。 父親の交通事故死により一人で実家にこもっていると、近所の写真館の息子(と言っても父親よりだいぶ年上)が突然訪ねてくる。 物語は娘の藤子視点で進行するので、藤子の心の中をひたすらに描写していく展開。 男性とまともに付き合ったことがない女性の心理は良く理解できないが、丁寧で無駄なく簡潔に描かれるので読んでいくうちに入り込んでしまう。 読み進めていくといつの間にか、今までに読んだ千早茜さんの小説のエッセンスに満ちてくる感じがする。2024/07/03
❁かな❁
181
父を突然失った20歳の藤子。父の友人で父よりも歳上の写真家の全と再会する。次第に全に惹かれていく。私はこんなに歳上の人に惹かれることはないなぁ。でも読み出したら丁寧に2人のやり取りを描かれていて全の魅力もわかった。里見くん、いい人だなぁ。2人で過ごす濃密な時間。読み進むにつれて読む手が止まらなかった。「誰かと関わると、もう出会う前の自分には戻れなくなってしまう。それが幸福なことなのか不幸なことなのかわからない。」好きな人と過ごしたひと夏。ずっとずっと心の中に残るだろう。切ない恋愛小説。2019/10/17