出版社内容情報
マネ最晩年の大作に描かれた少女は、なぜ死んだ目をしているのか? 他、ドラマティックな真実が浮かび上がる、絵画エッセイ十七編。「怖い絵」「名画の謎」に続く注目のシリーズ第2弾!
何気なく見ていた有名絵画の奥底を知れば、
もう登場人物の境遇に心を寄せずにはいられない……!
世紀を越えた名画が私たちに突きつけるのは、
〈誰もみな、運命から逃れられない〉という現実。
表紙は印象派の先駆者マネの最晩年の大作『フォリー・ベルジェールのバー』。
華やかなパリの酒場に立つバーガールは、なぜ死んだ目をしているのか?
そして裏表紙に続く絵の右側には、怪しい男の気配……。
実は彼女は追い詰められ、今まさに運命の分岐点にいる――。
〈この作品は2019年9月からはじまる「コートールド美術館展」で来日予定。
本書を読めば、鑑賞が何倍も楽しくなるのでおすすめです!〉
ほか、絵画エッセイの名手・中野京子さんだから解き明かせる17の〈運命〉を収録。
◎グロの描いた、若きナポレオンにオーラを授けた「奇跡の一枚」
◎波乱万丈すぎるゴーギャンの「遺書になりそこねた名作」
◎シェフェールがエロティックに描いた「死に向かう乙女」の理想と現実
◎ターナーが戦艦に重ねた「イギリスの栄枯盛衰」
◎バーン=ジョーンズの「運命の車輪」が真に迫りすぎている理由
etc.
絵画32点はすべてオールカラー掲載、主要絵画は引き出し線の入った詳細解説入り。
中野 京子[ナカノ キョウコ]
著・文・その他
内容説明
誰もみな、堕ちては昇る―。世紀を越えた名画が私たちに突きつけるコントロール不能な、人生の流転。ナポレオンにオーラを授けたグロ奇跡の一枚、ゴーギャンの遺書になり損ねた大作、シェフェールがエロティックに描いた死に向かう乙女、ターナーが戦艦に重ねたイギリスの栄枯盛衰、バーン=ジョーンズの真に迫る運命の車輪ほか、オールカラー絵画32点で読み解く17の運命。『怖い絵』『名画の謎』に続くシリーズ第2弾。
目次
若さと綺麗な顔だけを武器に―マネ『フォリー・ベルジェールのバー』/ロートレック『二日酔い(シュザンヌ・ヴァラドン)』
車輪は廻り続ける―バーン=ジョーンズ『運命の車輪』
生還できるか―ホーマー『メキシコ湾流』『ハリケーンの後で』/ジェリコー『メデュース号の筏』
日比谷公園との関係―ルーベンス『ロムルスとレムス』
駄犬じゃけえ…―ブリューゲル『雪中の狩人』
遺書になりそこねた大作―ゴーギャン『我々はどこから来たのか我々は何者か我々はどこへ行くのか』『レ・ミゼラブルの自画像』『死霊が見ている』
死びとは駆けるのが速い―ヴェルネ『レノーレのバラード』/シェフェール『レノーレ―死者は駆けるのが速い』
敗戦の将をいたわる―ベラスケス『ブレダ開城』/ルーベンス『侯爵夫人ブリジーダ・スピノラ=ドーリア』
表現者になるため生まれてきた―ワッツ『選択』/サージェント『マクベス夫人に扮したエレン・テリー』
聖書を破り捨てて―ムンカーチ『死刑囚の監房』『ハンガリー軍服姿の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世』
大金持ちのゴミ屋敷―モロー『ユピテルとセメレ』
若き英雄の誕生―グロ『アルコレ橋のナポレオン』『ヤッファのペスト患者を見舞うナポレオン』
老兵はただ消え去るのみ―ターナー『戦艦テメレール号』
久米仙人との違い―ボス『聖アントニウスの誘惑』/テニールス『聖アントニウスの誘惑』
胸塞がる物語―ティツィアーノ『マルシュアスの皮剥ぎ』/ペルジーノ『アポロンとマルシュアス』
メガミとイージス艦―クリムト『バラス・アテナ』/ルーベンス『メドゥーサの首』
荒々しい馬市―ボヌール『馬市』『バッファロー・ビル肖像』
著者等紹介
中野京子[ナカノキョウコ]
北海道生まれ。作家、ドイツ文学者。西洋の歴史や芸術に関する広範な知識をもとに、絵画エッセイや歴史解説書を多数発表。多くの雑誌、新聞連載を持つほか、テレビに出演し美術解説を行うなど幅広く活躍。2017年「怖い絵展」特別監修者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。