自転車泥棒

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  • サイズ B6判/ページ数 438p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163909257
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

出版社内容情報

父の失踪とともに消えた自転車は何処へ――。行方を追い、台湾から戦時下の東南アジアをさまよう。壮大なスケールで描かれる大長編。

呉 明益[ゴ メイエキ]
著・文・その他

天野 健太郎[アマノ ケンタロウ]
翻訳

内容説明

父の失踪とともに消えた自転車。その行方を追ううち、いつしか台湾から戦時下の東南アジアのジャングルへ―。壮大なスケールで描かれる傑作長篇。2018年国際ブッカー賞候補作。

著者等紹介

呉明益[ウーミンイー]
1971年、台湾・台北生まれ。小説家、エッセイスト、国立東華大学中国文学部教授。輔仁大学マスメディア学部卒業、国立中央大学中国文学部で博士号取得。短編小説集『本日公休』(1997年)でデビュー。2003年、2007年、2011年、2012年、2014年、2015年に『中国時報』「開巻十大好書」選出、2004年雑誌『文訊』新世紀セレクション選出、2007年香港『亜洲週刊』年間十大小説選出、2008年、2012年台北国際ブックフェア賞(小説部門)など、受賞多数。2018年。『自転車泥棒』で国際ブッカ―賞候補となる

天野健太郎[アマノケンタロウ]
1971年、愛知県三河生まれ。京都府立大学文学部国中文専攻卒業。2000年より国立台湾師範大学国語中心へ留学。帰国後は台湾専門翻訳・通訳、聞文堂LLC代表。台湾書籍を日本語で紹介するサイト「もっと台湾」主宰、台湾文化センター「台湾カルチャーミーティング」企画。俳人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

135
最初は夢中で読んでいたのに、どこかから入り込めなくなった。並行して流れるストーリーが複数あったことと、SF的要素がある話だと思わずに読んでいたからのような気がする。雑然とした時代であったろうに、市場の喧騒すら静かに流れていくような表現がしっとりとさせる。ノスタルジックな想いがあちこちで溢れかえっている。それを伝える天野氏の翻訳力。なのに、楽しめなくて残念だった。戦前と戦中の台湾は、祖父がそこにいた時代であったから、その雰囲気をひろいたくて、最後まで読み通した。2019/03/03

藤月はな(灯れ松明の火)

99
これは蒸発した父の愛用していた自転車を巡る物語でもあり、その自転車に関わった人々や台湾の歴史の息吹を感じる物語でもある。途中、自転車の歴史や構造などの説明が挟まるのには自転車版『白鯨』かと思わされました。一旦は脱線かと思われる挿話が実は緻密に自転車へ収斂されていくのが見事。時代に翻弄され、変わらざるを得なかった台湾。その中で商場も自転車も父という過去の痕跡は消えてしまった。だけど、勝沼さんと静子さんと象のマーちゃん、アッバスの父バスア、プシュケの話のように静かに残ったものもある。それが堪らなく、愛おしい。2019/01/26

しいたけ

95
台湾人作家が、複雑な過去と現在を内包する台湾を独特の色合いで描く。読む人それぞれが解釈するメタファーに、懐かしい優雅さがある。そのせいだろうか。主人公の母に私の母を重ねて読む自分に何度となく気づかされ、胸が痛んだ。みなの体に刺さっている、「なにか尖ったとげのようなもの」。必死になって抜くのに、「最後の一本のところになるとどうしても、また押し込んでしまう」との記述。グロテスクな戦争の記憶。どんなとげも、降り積もる月日の重みにいつしか自分の一部になる。抜かないとげが、仄かに光って見えた。2019/05/06

アナーキー靴下

92
「歩道橋の魔術師」がとても気に入りこの作品も読んでみたが、期待に違わず素晴らしい作品だった。ストーリーの時間の流れを超えた濃密な時間。たとえば亡くなった家族が残した日記とさえ呼べない程度の日々の記録、料理のレシピ、買い物メモ…そんな、文字情報を読んで理解するだけなら一瞬なのに、心に仕舞い込まれていたたくさんの記憶が溢れだし、何度も反芻され、時間を超越した世界を浮遊する感覚。それを形にしたような物語だと思う。台湾の視点から描かれる第二次世界大戦の記憶は、今まで想像できていなかった別種の痛みを感じた。傑作。2021/06/21

Willie the Wildcat

83
鐡馬を通して、自身、家族、そして民族の過去現在未来を繋ぐ。頭に浮かんだのが、ある映画からの名セリフ"If you build it, he will come..."。鍵は、両親の言葉。父からの『職人の心』と、母からの『ふぞろい』。生き様!主人公の父の師・唐さんが語る「手間vs.技術」の件が示唆に富んでいる。アブーから静子までの”旅”。「手間」、故に1人1の心が開き、結果主人公の心底に響く1人1人の心。命の息吹き、のほうがしっくりくる。因みに、映画『自転車泥棒』は、亡き父の好きな映画の1つなんだよなぁ。 2019/05/18

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