出版社内容情報
日本、朝鮮、琉球。東アジア三か国を舞台に、侵略する者、される者それぞれの矜持を見事に描き出した松本清張賞受賞作。この熱量はすべての読者を圧倒する。
衝撃の松本清張賞受賞作。
戦を厭いながらも、戦のなかでしか生きられない島津の侍大将。
被差別民でありながら、儒学を修めたいと願う朝鮮国の青年。
自国を愛し、「誠を尽くす」ことを信条に任務につく琉球の官人。
豊臣秀吉の朝鮮出兵により侵略の風が吹き荒れる東アジアを、
三つの視点から克明に続く。
なぜ人は争うことを辞められないのか。
人と獣を分かつものとは、一体なんなのか――
京極夏彦、三浦しをんら選考委員も絶賛した
傑作歴史エンターテイメント。
川越 宗一[カワゴエ ソウイチ]
著・文・その他
内容説明
豊臣秀吉の朝鮮出兵により侵略の風が吹き荒れる東アジアを、三つの視点から克明に綴る。“島津”戦を厭いながらも、戦のなかでしか生きられない侍大将。“朝鮮国”被差別民でありながら、儒学を修めたいと願う青年。“琉球国”自国を愛し、「誠を尽くす」ことを信条に任務につく官人。松本清張賞受賞作。
著者等紹介
川越宗一[カワゴエソウイチ]
1978年、大阪府生まれ。龍谷大学文学部史学科中退。2018年、『天地に燦たり』で第25回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
313
「ナンクルナイサ」 よく聞く沖縄の言葉には、その前提条件があった。マクトゥソーケー(誠を尽くせば)、「なんとかなる」という意味だった。また、沖縄は「守礼之邦(くに)」。その扁額が掲げられているから「守礼門」がある。だが、「礼」を欠いた秀吉は、朝鮮を侵略し、薩摩・島津家は沖縄を攻めた。本書は、島津家の侍大将、沖縄・琉球国の官人、朝鮮国の職人の3人の視点で時代を語ろうとしている。それぞれの見方が交錯するから分かりにくかったが、壮大なドラマを描こうとした作者のデビュー作への意気込みは感じられた。2021/12/07
ナイスネイチャ
128
図書館本。薩摩、琉球、朝鮮の三国から見た秀吉の朝鮮出兵。儒教を絡めたそれぞれの立場は違えど国のため民族のために奮闘する。ただ弱者の立場は哀しさがあって読後感は良くない。2018/10/20
とん大西
107
良かったです。味のある作品でした。秀吉の朝鮮出兵や薩摩の琉球侵攻を「礼」を主軸に描いた男達の矜持。島津の一将校・久高、朝鮮の白丁・明鍾、琉球の密偵・真市。攻めるのか攻めざるを得ないのか。守るのか守りたいのか。支配階級ではない彼らの視点を通した生々しい戦国末期。国は違えど、悩み苦しみ、ひたすら生きようとする彼らに男気を感じます。とくに明鍾の成り上がりっぷり、迷いっぷりは爽快ですらあります。ところで、作者の川越さんてこれがデビュー作なんやろか。なんとも達者というか老練な印象。次回作も楽しみです(^_^)2019/01/14
のぶ
83
戦乱の時代、秀吉の朝鮮出兵を中心とした戦の物語。今までもこの時代の作品は多く出されていて、自分の知っているものは日本側から描いた本が多かったが、本書は出兵に携わった島津藩に朝鮮国側の一庶民の姿も描かれて、単なる戦争の話に終わらず人間ドラマになっている事に好感を持った。戦士も一人の人間であり平和な生活が一番だという考えが良く出ていた。後半で琉球国との戦いにも触れられていたが、何故か爽やかな感じがした。松本清張賞受賞作との事だが、新人の小説だとは思えない筆力を感じた。次作にも期待したい。2018/08/19
旅するランナー
79
秀吉時代の日本・朝鮮・琉球の関わりを描く。島津家重臣・朝鮮靴職人・琉球官人の不思議な出会いが力強く感動的に描かれる。戦闘シーンの壮絶さと、儒教の教えの崇高さを見事に融合させているのが、他作品にはないこの作品独自の魅力であろう。礼により人と禽獣を分かち、誠を尽くして道を拓く。人間道の本質を描き出す、戦国小説界に燦然と現れた新人作家が、第二の司馬遼太郎になる予感すらあります。2019/01/14