死の島

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  • サイズ B6判/ページ数 409p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163908052
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

定年後、小説講座で教えながら独り暮らす男が不治の病に侵された時、死をどう迎えるか。『沈黙のひと』と並ぶ傑作感動長編!文藝編集者として出版社に勤務し、定年を迎えたあとはカルチャースクールで小説を教えていた澤登志男。女性問題で離婚後は独り暮らしを続けているが、腎臓癌に侵され余命いくばくもないことを知る。

人生の終幕について準備を始める中、講師として彼を崇拝する若い女・樹里は自分の抱える闇を澤に伝えにきたが-―

激情に没入した恋愛、胸をえぐるような痛恨の思いを秘めて皮肉に笑い続けた日々。エネルギーにあふれた時代を過ぎて、独りで暮らし、独りで死ぬという生き方は、テレビで繰り返し言われるような「痛ましく、さびしい」ことなのか。

ろくでもない家族でも、いさえすれば、病院の付き添いや事務処理上の頼みごとができて便利なのだろうか。生きているうちから、人様に迷惑をかけないで孤独でない死を迎えるために必死に手を打ち備えることは、残り少ない時間を使ってするようなことだろうか。



プライド高く、理性的なひとりの男が、自分らしい「死」の道を選び取るまでの内面が、率直にリアルに描きつくされる。

人生の幕引きをどうするか。深い問いかけと衝撃を与えてくれる小池真理子の真骨頂。『沈黙のひと』と並ぶ感動作。

小池 真理子[コイケ マリコ]
著・文・その他

内容説明

澤登志夫、69歳。文芸編集者としてエネルギーに満ちた時代を送った。激しい恋愛の果てに妻子と別れ、痛恨の思いも皮肉に笑い飛ばして生きてきた―彼を崇拝する26歳の宮島樹里の存在が、澤の過去と現在を映し出す。プライド高く生きてきた男が余命を知って辿り着いた、荘厳な企み。この尊厳死は罪か―現代をゆさぶる傑作長編。

著者等紹介

小池真理子[コイケマリコ]
1952年東京生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年『妻の女友達』で日本推理作家協会賞、96年『恋』で第一一四回直木賞、98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

199
小池真理子は、新作を数十年に渡ってコンスタントに読んでいる作家です。本作は、人生終焉恋愛物語でした。エンディングが予想通りだったので、もう少しサプライズが欲しかった。著者に表紙の絵を『死の島』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E3%81%AE%E5%B3%B6_(%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3) にせず、『スフィンクス』にした理由を訊いてみたい。末期癌には、年の離れた若い女性との恋愛が良く効きます。2018/03/30

sayuri

134
アルノルト・ ベックリンの代表作『死の島』棺らしきものを載せた一艘の小舟に白装束の人間が乗っている、海を漕いで向かう先に見えるのは不気味な死の島。主人公は不治の病に侵され、余命いくばくもない69歳の澤登志夫。澤が死の島へ向かい、自身でオールを漕いでいる様な本作は沈鬱さに満ちている。読んでいる間、私より先に逝った家族や友人の姿を思い浮かべ何度も鼻の奥がツーンと痛み涙が零れた。澤の企みが尊厳死と言えるのか分からない。願わくば霊魂や魂の存在を否定していた澤が島に辿り着き自身の考えを豪快に笑い飛ばしていて欲しい。2020/07/17

のり

133
澤登志夫は文芸一筋で生きてきた。70歳を前に末期癌に…出版社を退職後に小説講座の講師を務めていたが気力・体力も限界に…講座の教え子の樹里との出会いは、独り身の澤の心の拠り所になったし、樹里側でも師と仰ぐ人の手助けをする事に喜びを感じる。二人の関係は男女より師弟に近い。生=死。終活の準備を進める澤だが、元カノの、お坊ちゃま発言に納得する行動だと思った。三島由紀夫、川端康成、ヘミングウェイをなぞるような思想。プライドが人一倍強い為の妄想にとり憑かれた結末か…2018/11/09

ちゃちゃ

112
人は誰も、自らがどのように死を迎えるかを知らない。だが、澤登志夫のように末期癌に侵され幾ばくもない余命を知り得た人間が、その幕の引き方を自らの意思で選択(「演出」)したいと思うことは否定されることなのだろうか。家族に見守られ感謝の念を胸に逝く人もいれば、登志夫のように治療を拒み孤独な逝き方を選択する人もあるのではないか。確かに、若い頃の私なら彼に嫌悪感を感じていたかもしれない。けれど読了後、美しく不吉な気配に満ちた安息の場「死の島」へ、自分ならどのようにして小舟を漕いでゆくのかと静かに深く問うている。2018/09/08

takaC

112
なぬっ!?澤登志夫にとっての「死の島」は佐久の別荘ということかい。佐久に縁もゆかりもある自分としてはそれを諾うわけには行かぬ。笹森別荘地(おそらく架空の場所)は美笹湖辺りという設定なのかな。2018/06/19

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