出版社内容情報
詩人で絵本作家の笹原、画家の石黒、四十代後半の美しい珠代の三角関係をやわらかい人間観で描く長篇。失踪した石黒を追う二人。
内容説明
詩人兼絵本作家と若年性認知症の画家が、一人の女性をめぐり繰り広げる、遅れてきた青春。中年男女三人のかけがえのない時間が胸に響く。
著者等紹介
ねじめ正一[ネジメショウイチ]
1948年東京都生まれ。青山学院大学経済学部中退。父は俳人のねじめ正也。阿佐ヶ谷パールセンター商店街で「ねじめ民芸店」を営む。81年、詩集『ふ』で第三十一回H氏賞を受賞。89年、小説『高円寺純情商店街』で第百一回直木賞を、2008年、小説『荒地の恋』で第三回中央公論文芸賞を、09年、小説『商人』で第三回舟橋聖一文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
136
タイトルに魅かれて読みました。ねじめ正一、初読です。中高年ナックルボール偏愛物語といった感じで、楽しめました。子猫の名前もナックルだし、主人公がホームレスになった時の呼称もナックルで、全編にナックルが溢れ出ていました。日本球界にも本格派のナックル・ボーラーが誕生したら、面白いと思うんですが・・・本書は、野球の嫌いな人、特にナックルボールを嫌悪している人にはオススメしません(笑)2017/12/08
テクパパザンビア
30
面白かった。大人のための絵本のような内容でした。認知症とナックルボールを絡ませるなんて野球好きで認知症の母親を介護した作者でならではの本でした。2018/01/06
ぽぷりん
15
何の因果か、三人を繋ぐナックルボール。ゆらゆらとミットに向かう奇跡は、人生そのものか。若年性認知症を患う石黒を温かく取り囲む2人。どんなに活躍していても、若年性認知症などの病魔に蝕まれると、辛い。2018/01/21
HaruNii
13
認知症の症状が現れ始めてもナックルボールを投げ続ける石黒。ナックルボールに引き寄せられ3人が集まる。 読んでいて心地よい話でした。 2019/04/13
ユカリ
12
野球に夢中になったことがあれば、どれほど年月が経とうと野球少年少女に戻れるのですね。おじさんのピュアなドキドキ感といい、シュールな終わりかたといい、表紙といい、大人の童話みたいでした。2018/06/21