出版社内容情報
7年前に彼を癌で亡くし、父を見送った私の腸に、癌が見つかった。
これで私はようやく休める、私は腹の中に「楽園」を抱え込んでいるのだ。
告知を平然と受け止めた私は、
ともに暮らす要介護4の母との入院を心に決めた。
祖母、母、私――。
”一卵性母子”が伝統の一家で、母と私の闘病が始まる。
頑固で我がまま、愛の重い母と、私のいうことをきかない身体。
一筋縄ではゆかない母娘の、愛と涙の闘病記。
内容説明
老いる母、癌の私。ふたりが生きる彼岸の現実。「小説」でしか書けなかった母娘の闘病記。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
抹茶モナカ
18
自分の大腸がんでの闘病と、それと同時にこなす90歳の実母の介護の心象を、幻想を交え、小説という形式で書いたもの。僕自身、母親の老いで、母親の生活の手伝いをする回数が増えて来たのもあり、手に取った。自分の病気で通院する事すら、自分のために時間が使えて幸せに感じる著者の介護の現実。闘病の現実。作中に「生」の瞬間が煌めき、そして、現実に飲み込まれて消えて行く。年老いた親との立場が入れ替わり、親が子供と化して行く様子や気持ちの変化が生々しく、でも、ちょっと、母親との距離が近過ぎるような感じで、いろいろ感じた本。2018/02/01
こちゃら。
14
よくわからないまま読了。私の苦手な文体でした。2017/12/03
sk
4
ガン闘病記。荻野らしいユーモアとウイットが好ましい。2021/04/05
やっちゃん
3
初読みの荻野さん。どんな方かは知らないけど、母娘の闘病記と聞き興味を持つ。しかし、共感は得られず、期待外れだった。介護も闘病も、重く切なく辛い事ばかりではないし、沁みる様なエピソードばかりがあるわけではないだろうけど、あっけらかんと書かれると、それはそれでシラケてしまう。母を失った哀しみを共有できるかと思ったのだが、どこか何かが違った。 2018/12/08
ふみ
2
母と自分の、それぞれのからだが思うにならない感じと、心も、親子ならではのわがままやらが、自分もそういう年代に入り、わかる気がした。でも、猫が誰なのかわからなかったり、比喩的で、読解力不足でした。2019/05/03