出版社内容情報
明治中期、高等師範学校女子部に通う夏と咲たちは、鹿鳴館の舞踏会に招待を受ける。そこには暴徒の魔の手が忍び寄っていた……。
内容説明
鹿鳴館時代、高等師範学校に学ぶ咲と夏は、女に学問はいらぬという世相にあらがいながら、“戦う乙女”として躍動する―。2017年度松本清張賞受賞。
著者等紹介
滝沢志郎[タキザワシロウ]
1977(昭和52)年、島根県生まれ。東洋大学文学部史学科卒。現在、テクニカルライターとして各種マニュアル制作に従事。2017(平成29)年、『明治乙女物語』が選考委員の圧倒的支持を受け、第24回松本清張賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
177
図書館本。明治時代男尊女卑の時代。外国人と結婚も蔑まれる時代に生きた女学生のお話。ミステリーというより当時の時代背景を教わった感。伊藤博文が助平爺さんだったのは驚き。文中、伊藤博文の登場で人物像が崩されていきました。作者さんが嫌いなのでしょうね。 2017/10/21
モルク
102
松本清張賞受賞作。鹿鳴館時代の女子高等師範学校の女生徒たちが話の中心となる。西洋文化が急速に入ってきた時代であるが、それは上流階級での話であってまだ庶民には浸透せずなかなか理解されなかった時代。女が教育を受けることさえよく思われなかった時に高い志を持って高等師範の門をくぐった咲や夏たち。実在の人物も多数登場し、架空の人物さえも実在したかのように思われて素敵だった。朝ドラ向きな作品である。でも、あの伊藤博文氏がただのスケベじじいだったことに驚き。2018/02/03
ゆみねこ
87
滝沢志郎さん、初読み。第24回松本清張賞受賞作。明治の乙女、お茶の水女子大の前身・女子高等師範学校の女学生たち。日本が西欧化を模索していた時代、女子が学ぶことに偏見のあったこの頃。鹿鳴館を舞台に命を狙われた伊藤・森。華やかな表舞台だけでなく、唐人お吉やハリス、ヒュースケンなどの逸話も語られ、とても読みごたえがありました。山川二葉さんをはじめ、会津出身者が生き生きとしていて嬉しかった!お勧めです。2017/08/30
とろとろ
86
明治維新の鹿鳴館の華やかかりし頃に、このような理念の女学校があったのかしらん?、と思うけれど、時代背景を入念に調べたうえで書かれた自信作なんだということがよく分かる。松本清張賞ならミステリアスな要素がもうちょっと欲しいかな。それに物語の世間(地域的な広がりみたいなもの)が狭くって、しかも一本調子の一直線だから、こっちが考える要素が少しもなくて、何だか拍子抜けで終わってしまった感じ。もう一捻り欲しかったかな。でも、学術的と思えるほどに時代考証がしっかりしてるし…。まっ、いいか。こんなもんかも。2017/09/26
NAO
76
欧米諸国と一刻も早く平等な立場にならなければと焦る文部大臣森有礼の強引なまでのやり方に反発する動きは、一般庶民だけでなく、政治家の中にもあった。空回りしすぎている感じが強い森有礼のあやうさを象徴しているかのような、あまりにも短かった華やかなる鹿鳴館時代。その激動の時代を過ごした、若き女高師の女学生たち。自分たちが政策に利用されようとしていると気付き、懸命にそれにあらがおうとする姿は、何とも頼もしく、いとおしかった。表紙と題から受ける印象とは違い、読みがいのある本だった。2018/04/05