出版社内容情報
父・直家の跡を継ぎ豊臣政権の覇者となった秀家。関が原で壊滅し、八丈島で長い生涯を閉じるまでを描く傑作長編。
木下 昌輝[キノシタ マサキ]
著・文・その他
内容説明
秀吉の寵愛を受けた俊才・宇喜多秀家。絶体絶命の関ヶ原。心優しきリーダーの選択とは。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
308
木下昌輝は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。宇喜多シリーズ第二弾、前作の死臭が漂う雰囲気と異なり、爽やかな印象です。『宇喜多秀家はつらいよ!』といった感じでした。但し、これでは直木賞は獲れません。2018/05/18
yoshida
268
「宇喜多の捨て嫁」の続編。梟雄・宇喜多直家の子である宇喜多秀家を描く。宇喜多秀家の印象と言うと、司馬遼太郎氏の「関ヶ原」等での豊家の藩屏たる矜持を持つ武将の印象が強い。本作では自領と民を守らんとする新しい宇喜多秀家像がある。母親であるお福の方が登場しないのも驚き。何より、醜悪に描かれる豊臣秀吉や、秀吉亡き後の毛利家の動き、関ヶ原の戦いの描き方に新しい解釈があり新鮮な気持ちで読めた。宇喜多秀家が八丈島に生涯流罪であったひとつの解釈が示される。歴史には様々な視点や側面があることが分かる。個人的には前作が好み。2019/03/13
いつでも母さん
208
『難しき道をいく』木下作家が描く宇喜多秀家。跡継ぎは辛いなぁ。父と望んだ楽土の為に生き延びるゆえ、それを「死に損ねた。」と云う男。18年前に助けた男の息子に助けられ、結果八丈島へ配流された男の生涯。どれほど仲睦まじくとも豪姫との決別は悲しかったが、戦国ならではだろう。木下さんの描く人物はどこか哀しい。だが、そこが良い。2018/06/08
しんごろ
204
父の宇喜多直家ほどの謀略の才はないが、時折、優しさを垣間見せる行動に父直家にはない才を感じる。ただ、正木左兵衛を密かに召し抱えた策は、父譲りのように感じた。とはいえ、秀家の優しさが仇となることもあり、それが関ヶ原の合戦だったのではないかと個人的に思う。宇喜多家内紛にしても優しさが仇となったのだと思う。流れに抗い信念を貫く姿は良かったし、見習いたいとも思う。そして、秀家と豪姫の夫婦愛の絆の深さに涙ぐんだ。秀家が描く楽土を見てみたかったな。2020/04/26
Aya Murakami
171
絵金、闇を塗るの作者の本として紹介されていたので図書館で借りてきた本 みんなに慕われているからこそ生きなければならない。それは生き恥ではない。というのが本作のテーマでしょうか? 平和に土地を耕し畑の世話をしたいと作った干拓地に結構長生きした秀家が最後の人生を送った八丈島。楽土は人を思う善意が作っていくものなのかも?左京亮の最後は壮絶で惨めだったのと対照的。2021/02/04