音の記憶―技術と心をつなげる

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音の記憶―技術と心をつなげる

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163906072
  • NDC分類 547.3
  • Cコード C0095

出版社内容情報

消えたオーディオブランド「テクニクス」再生を会社は私に託した。世界的ジャズピアニスト兼技術者・パナソニック女性経営者の手記。◆パナソニック女性役員の手記◆



日本の会社で働く全ての女性に贈る

働くこと、愛すること、継続すること。



かつて松下電器にはソニーに匹敵する自由なる研究所があった。

1986年に入社した私は、その音響研究所に配属され

栄光のブランド「テクニクス」の様々な発展形の技術・商品を開発する。

人には大切な「音の記憶」がある。その感情を技術が喚起する。

そんな商品をめざし、うちこんだ青春の日々は、

8年目でプロジェクト解散、配置転換で雲散霧消したかに見えた。

失意の中で始めたジャズ・ピアノで世界的な評価を受ける。

「君はパナソニックのトップにはなれないが、プロとしては成功する」

そうアメリカのプロデューサーに言われ、心は揺れるが……。





【目次】



■序章 音の記憶

二〇一四年九月ベルリン。私は消えたブランド「テクニクス」復活をパナ

ソニックの責任者として宣言した。この本では、私が「会社員として」

「ピアニストとして」二足のわらじで、いかに音に懸けてきたかを語りたい



■第一章 全ての生き物にはリズムがある

母親のお腹の中で聴いた『赤い靴』と『春よ来い』。なぜこれらの曲が特

別な感情を呼び起こすのだろう。理工学部へ進学した私は、聴覚や生体の

リズムを研究する。そして就職を考える中、運命的な一本の論文に出会う



■第二章 就職まで

「これからの時代は違うんちゃうかなあ」。松下電器で音響の仕事がしたい

と会社訪問すると大学の先輩から「志望業界を変えなさい」と諭された。C

Dなどデジタルオーディオが誕生し、音響事業は激変の時を迎えていたのだ



■第三章 自由なる研究所

それでも松下電器を選んだ私は念願通り「音響研究所」に配属された。

「感性を活かし世の中にないものを作りなさい」という所長小幡修一のもと、

金管楽器型スピーカー、超薄型スピーカーとユニークな製品を生み出す



■第四章 汐留の輝ける青春

ウィーンのオペラ座に採用された超薄型スピーカー。世界的な評価を得た

技術を使って住空間を変えるプロジェクトが始まった。壁一面スピーカー

という前代未聞のホールづくりは、二〇代を懸けるに相応しい挑戦だった



■第五章 失意のプロジェクト解散

三〇歳のとき転機が訪れる。全速で走ってきたプロジェクトが一瞬にして

終わったのだ。薫陶を受けてきた所長の小幡も去った。会社を辞めようか

と悩んでいると上司の木村陽一から誘われた。「ジャズ、やってみないか?」



■第六章 オール・ユー・ニード・イズ・ジャズ

曽根崎の老舗ライブパブ、ピアノとドラムだけのデュオで初舞台を踏んだ。

仕事をしながら毎月のステージに立ち、ジャズにのめり込んだ。七年後、

本場米国での国際ジャズフェス。満員の観客から拍手を受ける自分がいた



■第七章 二足のわらじ

「仕事もピアノも中途半端はいかんよ」という恩人からの手痛いひと言。

奮い立った私はDVDオーディオ、インターネットと新たな仕事に取り組

む。東京に転勤してからは日米で九枚のCDを立て続けにリリースした



■第八章 愛こそ全て It's All About Love

「ミチコ、アメリカでデビューしないか」。米国でリリースしたCDが英国

ジャズ専門誌で年間ベストアルバムに選ばれた。プロデューサーからプロ

オファーを受け、渡米するか悩んでいるとき高校時代の初恋の人が現れる



■第九章 松下幸之助が教えてくれたこと

日本に残る決断の後、本社の部長職に着任した。梅田の新歩道橋や浅草寺

雷門の寄贈など「企業は社会の公器」と考えた創業者の寄付行為に始まる

社会文化グループ。私は無電化地域へのソーラーランタン提供を思いつく



■第十章 テクニクス復活プロジェクトに懸ける

二〇代を捧げたオーディオ「テクニクス」は生産中止になっていた。しか

し時代は再び「高品位な音」を求めている。リスナーや評論家との橋渡し

をするラストピースとして、会社は消えたブランドの再生を私に託した



■第十一章 ベルリンでの復活宣言

着任当初、驚くべきことに最上級モデルのアンプは仮組み、スピーカーは

一部が他社製だった。迫る復活プレゼンの舞台。それでも私は一切妥協し

ない。音質を決定する「音決裁」は最難関と恐れられた。不眠不休の四カ月



■第十二章 幻のターンテーブルSL-1200

七〇年代に開発されたターンテーブルは世界累計三五〇万台を売り上げた

テクニクスのアイコン製品だ。イスラエルから復活を願う二万五〇〇〇超

の署名が届いた。定年退職したOBを頼り、途絶えた技術を蘇らせる



■第十三章 女性が欲しくなる「オーディオ」で未来を拓く

音楽を聴く人の半分は女性。しかしハイエンドオーディオの購入者は九割

以上が男性なのだ。「重くて大きいものが良い」という従来の価値観を打

破し、「女性」と「小型化」を追求。音の宝石箱OTTAVAに辿り着いた



■第十四章 若い人へのレッスン

テクニクスを指揮するパナソニックの役員として、また一四枚のCDをリ

リースしてきたピアニストとして。仕事とジャズを通して実感してきたこ

と。自分らしくあるために大切にしてきたこと。次世代へのメッセージ

小川 理子[オガワ ミチコ]

内容説明

かつて松下電器にはソニーに匹敵する自由なる研究所があった。1986年に入社した私は、その音響研究所に配属され栄光のブランド「テクニクス」の様々な発展形の技術・商品を開発する。人には大切な「音の記憶」がある。その感情を技術が喚起する。そんな商品をめざし、うちこんだ青春の日々は、8年目でプロジェクト解散、配置転換で雲散霧消したかに見えた。失意の中で始めたジャズ・ピアノで世界的な評価を受ける。「君はパナソニックのトップにはなれないが、プロとしては成功する」そうアメリカのプロデューサーに言われ、心は揺れるが…。日本の会社で働く全ての女性に贈る働くこと、愛すること、継続すること。

目次

音の記憶
全ての生き物にはリズムがある
就職まで
自由なる研究所
汐留の輝ける青春
失意のプロジェクト解散
オール・ユー・ニード・イズ・ジャズ
二足のわらじ
愛こそ全て It’s All About Love
松下幸之助が教えてくれたこと
テクニクス復活プロジェクトに懸ける
ベルリンでの復活宣言
幻のターンテーブルSL-1200
女性が欲しくなる「オーディオ」で未来を拓く
若い人へのレッスン

著者等紹介

小川理子[オガワミチコ]
1962年、大阪府生まれ。パナソニック株式会社役員。3歳の頃よりピアノを始め、様々なジャンルの音楽に親しんでいたこともあり、慶應義塾大学理工学部在学中から、松下電器産業(現パナソニック)の音響研究所に憧れていた。86年入社後、同研究所に配属。金管楽器の形をしたスピーカー「サウンドスペースツインロードホーン」など数々のユニークな開発を手がけた。しかし93年に所属する部署が解散。その後、音響開発の現場は離れるが、ジャズピアノでは2003年に北米でリリースされたCDが英国専門誌で年間ベストアルバムに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テクパパザンビア

33
面白かった。サクセスストーリー、『こんな偉い人がいるん』やと感嘆。二足の草鞋を上手に履き慣らしてパナソニックの役員でジャズピアニストとして活躍、凄いなぁ。テクニクスのブルドッグの置物が懐かしい。2017/07/26

きみたけ

23
身近な人の本だけに感動した2020/06/15

ぼっちゃん

11
パナソニック役員とジャズピアニストの二足のわらじを履き続け、テクニクスを復活させた人の手記。音は映像と違い見えないので、音作りは感性が重要でどのような音にしていくか技術の人に伝えるのも難し仕事だと思う。パナソニックの社会貢献でJR大阪駅前の梅田新歩道橋、浅草の浅草寺の雷門を寄贈していると初めて知った。2017/04/01

trazom

7
パナソニックの役員とジャズ・ピアニストの二足の草鞋を見事の履きこなしている小川理子さんの自伝。会社員でありながら、アメリカでデビューしないかと言われるほどのジャズ・ピアニストとして活躍されていることに感激する。一方、会社員としては、部長や役員への昇格を自慢するような語り口には違和感がある。テクニクス・ブランドの復活の手腕は見事だが、全て自分一人の力で実現したような書き振りには、少し鼻白む。それを支えてくれた多くの人たちへの言及もないし、そもそも「部下」というような言葉を抵抗なく使う人を、私は信用しない。2017/04/01

tom

7
著者は、ときどきテレビで見かける人。ということで、図書館で入手。ガーシュインのコンサートを独力でやってしまったというから、かなりのピアニスト。ピアニストと会社員の二足のわらじを履き、アメリカでのジャズ演奏家という誘いを蹴飛ばして、上級管理職になってしまう。そして、オーディオシステムの復活に関わる。ここでの音に対する感受性のにはビックリ。と、いろいろ驚くことはあるのだけど、この本自体は、著者が関わった製品に対する宣伝という雰囲気。だから、面白というわけでもないという奇妙な本でした(笑)。2017/05/18

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