大岩壁

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  • サイズ B6判/ページ数 361p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163904580
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

この8000メートル峰だけは別格だ。通称“人喰い山”を舞台に、亡き友、兄に対する思惑が錯綜、人智を超えた凄絶な戦いが始まる。「魔の山」、ナンガ・パルバット。この山は別格だ。

ヒマラヤ、8000メートル級の山のなかで、多くの犠牲者を出し、通称「人食い山」の異名で恐れられてきた。

立原祐二、48歳。5年前に、3名のパーティで登攀に挑むも、頂上目前にして断念。しかも、自身の指だけでなく、大事な友人・倉本を失った。が、クライマー人生を締めくくるにあたって、生還した木塚とともに、「魔の山」に挑むことを決意する。

緻密な計画を積み重ねているうちに、予期せぬ参加希望者があらわれた。倉本の弟、春彦だ。卓抜たる技術を持つもまだまだ経験に欠け、高度順応も未知数。しかも、協調性をふくめて人間性に問題があるばかりか、兄の死に不審を抱いている気配がある。さらに、同じく冬期初登頂をめざすらしいロシアのパーティにも不穏な動きがある。

さまざまな不安要素を抱えながらも、登攀は開始された。

天候だけでなく、予期せぬ事態が出来し、人を、その人生を試すのが山なのだーー立原はあらためて、その思いを強くする。苛烈な状況のなか、登頂を目指す彼らの行く末は?

ラストまで予断を許さない緊迫の山岳小説。

『還るべき場所』『未踏峰』『その峰の彼方』など、現代の山岳小説の第一人者の最新作。

笹本 稜平[ササモト リョウヘイ]

内容説明

ナンガ・パルバット―この山は別格だ。5年前、頂上目前にして断念。大事な友を失った二人が、再度この山に挑む。そこに、兄の無念を晴らさんとする若者、同じく冬期初登頂をめざすロシアのパーティが参入し…。予期せぬ事態が出来する状況のなか、彼らの登攀はどうなるのか?現代山岳小説の第一人者、待望の最新作!

著者等紹介

笹本稜平[ササモトリョウヘイ]
1951年、千葉県生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、出版社勤務、フリーライターを経て、2001年『時の渚』で第十八回サントリーミステリー大賞と読者賞を同時受賞。2004年『太平洋の薔薇』で第六回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あすなろ

106
宇宙に一番近い場所まで自分の手足で登る。その間、いわれのない疑惑とも闘う。つまり己とも闘う。しかし、それよりも極限に追い込まれ、命を懸ける程の価値があるのかと自らに問う。答えられぬ。希薄な大気が思考を拡散させる。喘ぎ苦しみ、それでもひたすら前に進むことが、今この時間を生きていることが、その答えだと言うしかない。こんなことを僕も一緒に鼓動昂ぶる変わらずの笹本氏山岳小説を堪能しました。但し、いつもより若干、昂り少なかったかな?2016/06/12

ちょき

69
山岳もの第三弾。そうこれ!まさに「こんな山岳小説が読みたかった」。ナンガ・パルバット。遭難者が多いことから「人食い山」と呼ばれているらしい。冬季未踏の頂に挑む3人の日本人クライマーは、酸素ボンベ無し、少人数、軽装でのアルパインスタイルで登っていく。ロシアチームとの初登頂争いの中、ストーリーの核心を担う問題児が一人。襲いかかってくる雪崩。足をかける岩一つの描写にさえ緊迫感が宿る。最終ページまで何が起こるかわからず、ドキドキした展開が続いた。読み応え十二分。山好きの読書家さんには絶賛おすすめしたい。2016/08/21

ゆみねこ

65
ヒマラヤ、ナンガ・パルバッド。5年前登頂目前に気候の急変で断念し、下山途中の事故で一人の命を失ったその山の頂を、再び目指した立原。亡き友の弟がメンバーに加わるが…。登山経験のない私も、ハラハラドキドキのスリリングな展開。一気に読破しました。晴彦の身勝手さに何だか不完全燃焼でした。2016/08/01

キムチ27

52
久しぶりの一気読み。もっとも好きなジャンルということもありぃ。筆者お得意の山岳ノベル。女は交えず、オトコのプライドをかけた氷雪岩稜での一騎打ち。してみると筆者のこの類は常に死を前提としている。クライミング自体、死を想定内に入れた唯一のスポーツだと書いてある文章をどこかで読んだ記憶が。ラストの盛り上がりは(個人的に)壮絶!最後の1頁まで気が入る。作中「ヒマラヤ山中には今でも数百の死体が放置されており・・」の下りはぐぐっ。マロニー卿の例然り。舞台となるナンガ・パルパットも2つの遺体を含めどれだけ飲み込んだか!2016/06/07

Yuna Ioki☆

50
1487-183-14 何故彼らは命をかけて山に登るのだろう。登頂できるのかどうかラストまでハラハラのしどうしだった。兄の死後の晴彦は兄の思いをとげるためだけの人生だったのは哀しすぎる。2016/06/07

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