出版社内容情報
「カッとなってすぐに怒鳴る」私が会社帰りに襲われた。犯人は誰か。痴漢冤罪に熟年離婚――。日常に潜む陥穽に落ちた男たちの運命。
会社帰りに遭遇したおやじ狩り、小学生の娘が苦しむ奇妙な病、永遠に忘れられない昔、同棲した女の影--。人生の「迷路」に立ちすくみ、あがくしかない男たちのドラマが胸に迫る。恋愛、ハードボイルド、さまざまな形で「人の心のはかなさ」と「人生の機微」に触れる物語を紡ぎ続けてきた名手が描き出した、人生の曲がり角で待ち受ける危機と再生。全六編の短編小説集。
「怒鳴り癖」仕事帰りに、二人組の男に暴行を受けた会社社長。怒鳴ってばかりの自分に怨みがある者の犯行ではないかと疑い……。
「通報者」怪しい男から近所の若い女性を救ったものの、警察に通報した若い男の容疑者が自殺したことから窮地に追い込まれ……。
「時には母のない子のように」同棲していた年下の男と刃傷沙汰になった事件。加害者の女性は昔愛した女と同姓同名だった。
「押し入れ」娘が突然かかった奇妙なパニック障害。妻は何を隠しているのか。
「マンションは生きている」中学生の女の子がマンションのロビーでプチ家出を始めた。管理人の私は親に連絡するのだが……。
「消えた女」退職後に付き合い始めたコンビニ店員の女性が突然姿を消した。彼女の残した地図を頼りにその足跡をたどる男を待つ思わぬ“真実”とは。
内容説明
男の危機は、思いもよらぬ姿で現れる。気が短く、つい怒鳴り散らしてしまう私が、遭遇したおやじ狩り。これは、部下の復讐なのか―。人生の「迷路」に迷い込んだ六人の男の物語。
著者等紹介
藤田宜永[フジタヨシナガ]
1950年福井市生まれ。早大中退後、73年パリに渡り、エールフランスに勤務。80年帰国。86年『野望のラビリンス』が処女作。95年『鋼鉄の騎士』で第四十八回日本推理作家協会賞、第十三回日本冒険小説協会大賞特別賞を受賞。96年『巴里からの遺言』で第十四回日本冒険小説協会大賞短編部門大賞受賞。その後『樹下の想い』で恋愛小説に新境地を拓き、99年『求愛』で第六回島清恋愛文学賞受賞。2001年に『愛の領分』で第百二十五回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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