若冲

澤田 瞳子【著】

文藝春秋（2015/04発売）

• サイズ B6判／ページ数 358p／高さ 20cm
• 商品コード 9784163902494
• NDC分類 913.6
• Cコード C0093

出版社内容情報

緻密すぎる構図や大胆な題材、新たな手法で周囲を圧倒した天才は、底知れぬ悩みを抱え、姿を見せぬ好敵手を憎みながら描き続けた。

奇才の画家・若冲が生涯挑んだものとは――

今年、生誕300年を迎え、益々注目される画人・伊藤若冲。緻密すぎる構図や大胆な題材、新たな手法で周囲を圧倒した天才は、いったい何ゆえにあれほど鮮麗で、奇抜な構図の作品を世に送り出したのか？ デビュー作でいきなり中山義秀賞、次作で新田次郎賞を射止めた注目の作者・澤田瞳子は、そのバックグラウンドを残された作品と史実から丁寧に読み解いていく。
底知れぬ悩みと姿を見せぬ永遠の好敵手――当時の京の都の様子や、池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁、市川君圭ら同時代に活躍した画師たちの生き様も交えつつ、次々に作品を生み出していった唯一無二の画師の生涯を徹底して描いた、芸術小説の白眉といえる傑作だ。

内容説明

「世に二つとない絵を描く」画人、その名は伊藤若冲―池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁、市川君圭…絵師たちの運命が京の都で交錯する。著者渾身！至高の芸術小説。

著者等紹介

澤田瞳子［サワダトウコ］
１９７７年、京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院博士課程前期修了。時代小説のアンソロジー編纂などを行い、２０１０年、『孤鷹の天』で小説家デビュー。１１年、同作で第十七回中山義秀文学賞を最年少受賞。１２年、『満つる月の如し仏師・定朝』で第二回本屋が選ぶ時代小説大賞、１３年、第三十二回新田次郎文学賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[starbro]

図書館の予約に大幅に出遅れて、ようやく読めました。澤田瞳子、若冲の物語共に初読です。この時代小説がすごい！2016年版１位、各賞ノミネートということもあり、読み応えがありました。ただ若冲の人物像にはあまり共感出来ませんでした。天才的な芸術家を凡人が理解するのは難しいのかも知れません。３０歳台でこの作品を描いた澤田瞳子には期待したいと思います。生誕300年記念「若冲展」も見に行きたいなぁ！

2016/05/03

[ナイスネイチャ]

図書館本。若冲と云えば鶏や鴛鴦など色鮮やかな画風しか浮かばないが、つくも神や升目描きなど奇抜な画風の所以を作者の創作とはいえ綴っており、唸りながら読んでました。直木賞の審査員のコメントは酷評でしたが、若冲の作品を観ながら読めば良かったのに・・と感じました。「美しいがゆえに醜く、醜いがゆえに美しい・・。」というフレーズが頭に残ってます。

2015/12/08

[あすなろ]

男達は皆、心の底に沈む鬱屈を美しい絵として紡ぐ。若冲にとり絵は、己の罪と向き合うと同時に、何者にも蹂躙されなれぬ場。自らで自らを人生の隘路に追い込み、自らの償いのため絵を孤独に追う。それが、他と違う絵を帰結したのか。生死が生き物にある様を描いたような若冲の絵は、そのような背景から生まれたようだ。そして、彼を支えた妹の仕えた姿にも感慨深く感じ入る。読書中、ワザと若冲作品をネットで検索せず進んだが、これからとくと拝見させて頂きたい。澤田作品は初めて。ついに時代小説を自分より歳下でここまで描く人が出たことに衝撃

2015/10/29

[とも]

文庫化を待とうかと思ってたところ相国寺の承天閣美術館で若冲の作品を見て衝動的に購入。緻密さ、鮮やかさ、奇抜さで気になり出した若冲の人となりはほとんど知らなかったのでフィクションだと思いながらも彼の半生を夢中で追いかけました。登場する作品が掲載されてたら一番よかったなぁ。章が終わるごとに検索して眺めてました。死が常に近くを漂っているようで重厚な読後感。若冲の絵を間近で見ると(集中して)疲れるのと似てました。

2015/06/24

[reo]

NHKスペシャル｢若冲 天才絵師の謎に迫る｣を再放送でやってました。天才絵師・伊藤若冲の「動植綵絵」や代表作が一挙勢ぞろいで、観ていて思わず『凄い！』と声が出る。その圧倒的な魅力は、超細密に描いた生き物たち。美しい鶏だけでなく、ハサミムシやケラなどの小さな虫、さらには、朽ち果てた葉っぱまで。生きとし生けるものすべてを再現しており、半端ない存在感です。以前読んだときの印象が薄かったので確認作業です。クリエイターとしての天才若冲が弱すぎる。たかが贋作屋の弁蔵ごときに惑わされるものか。印象が薄かった原因が判明。

2016/11/03