出版社内容情報
「死」の気配を濃厚に漂わせる、富士の樹海。訪れる人々が生むドラマをこの世ならざるものが見守っている。魔力に満ちた連作短編集。
自殺の名所を訪れる、様々な人間たち
「死」の気配を濃厚に漂わせる、富士の樹海。訪れる人々が生むドラマをこの世ならざるものが見守っている。魔力に満ちた連作短編集。
内容説明
終末だけでも、自分で選びたい。樹海の魔力に吸い寄せられるものたち。人生の重みがみっちりと詰まった六編。
著者等紹介
鈴木光司[スズキコウジ]
1957年静岡県浜松市生まれ。慶應義塾大学仏文科卒。90年第2回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞となった『楽園』でデビュー。95年発表の『らせん』で第17回吉川英治文学新人賞を受賞。2013年『エッジ』で、アメリカの文学賞であるシャーリイ・ジャクスン賞(2012年度長編小説部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
74
富士の樹海を巡る不幸な連鎖の短編連作集。富士の樹海に行ったことがないので、今一イメージできませんが、首吊り死体が蓑虫のようにたくさんぶら下っている光景が日常だとすると、凄まじく怖いものがあります。多少救いのある「奇跡」がオススメです。2015/04/24
白のヒメ
54
富士の樹海での自殺を絡めた連作集。読メのレビューを読んでいると、途中で読むのをやめたという人が多く、それはさもあらんと理解できる。一話目の「偏在」などは私的には物凄く感銘したのだけれど、薄気味悪さに伴う絶望感は半端ないのでページを閉じたくなるだろう。けれど、この小説は最後まで読まないと作者の言いたいことは分からない。どんな環境にあれ苦しみにあれ「それでも人は生きていくものだ」し、生きていかなきゃいけない。人生の勝ち負けは「生き続けるか、否か」それだけなのだ。との強いメッセージを読み取った。良作。2016/10/06
ヒデミン@もも
54
怖かった。本当に怖かった。夜読み始めた事に後悔するほど怖かったがやめられなかった。怖い映像を観るときに目を細めてしまう癖に気がついて読書でしても意味がないと思いながらも読む手を止められず読了。(´Д`)ハァ…と溜息が。感想を書いたら眠れなくなりそうなのでそのまま就寝。今思い出しても樹海での映像が思い浮かぶ。リアル過ぎ。完敗。2015/05/24
財布にジャック
52
鈴木光司と言えばホラーなのかと勝手に勘違いしていた自分が悪いのですが、思っていたものと全く違いました。バラバラなのか繋がっているのが解りにくい短編の数々で、樹海が題材だからジメジメとしていてスッキリしない内容ばかりで、世界観があまり好きではないせいか、入り込めぬまま読了してしまいました。ガチガチのホラーまたはSFを次回はお願いしたいです。2015/09/24
itica
48
自ら死を選んだ人、選ばれた人、ただ死を待つ人。様々な形の死と、死のイメージの強い樹海の組み合わせ。6篇のすべてがもしかしたらどこかで繋がっているのかもしれないが、唐突に始まった感じの話もあり、私の中ではなじみにくい印象だった。死に様、生き様、ひいては「生きる」ことに対して筆者の思いが込められているのだろうかとも考えてみたが、残念ながら心に響くものがなかった。相性の問題なのかな。 2015/05/10