出版社内容情報
突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくない」
長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。
悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、
同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。
突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。
人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
内容説明
長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
著者等紹介
西川美和[ニシカワミワ]
1974年広島県生まれ。2002年「蛇イチゴ」でオリジナル脚本・監督に初挑戦デビュー。毎日映画コンクール脚本賞等、国内映画賞の新人賞を獲得し、その後は「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売るふたり」を発表。映画監督としての仕事に加えて、小説、エッセイの執筆等、幅広い活動に対する評価も高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
828
図書館の予約に大幅に遅れて(短い言い訳)、新作ハンターとしては不本意ながらようやく読めました。西川美和、初読です。先入観なしで読み始めたのですが、予想外の展開で楽しめました。各賞にノミネートされたのも納得です。重松清の女性版のような感じがしました。カープファンだとしても、「キヌガサ サチオ」という名前はつらいんではないでしょうか?これから子供の名前を考える親は、客観的にみて虐められない名前にすべきだと思います。私の上司は忘れ去られた元総理と同性同名ですが、いまだに元総理の名前で呼ばれています。2016/05/16
風眠
750
〈もう愛してない。ひとかけらも。〉バス事故で亡くなった妻の遺品の携帯。未送信ボックスに残された幸夫宛のメール。なぜ俺に送信しなかった?まぁ仕方ないか、あいつが死んだとき俺は別の女と寝てたから・・・って、作家のくせに幸夫は分かってない、分かってないよ。本当に愛してないのなら、あんな風に書き残すはすがない。幸夫だって本当は妻を愛していたのでしょう?死は突然で、だから悲しみから逃げて言い訳ばかりしてたのでしょう? 妻の写真を飾り終え、どこかから聞こえてきたピアノの音。ほら今流れた涙が悲しみだよ。それが慟哭だよ。2016/03/02
遥かなる想い
747
2016年本屋大賞4位。 悔恨の物語とでも言うべきだろうか。 突然大切な者を失った者たち.. 夏子を失った心の虚しさを津村啓は 物語全編に渡る 「永い言い訳」で埋めていく。 二人の心理描写がひどく映像的に思えるのは 著者が映画監督であるという意識から なのだろうか。 地団駄踏むような感情の激しいうねりもなく、 壊れがちな心も隠しながら、 淡々と「失った者を想う」展開は 逆に静かに読者の心に沁みてくる.. 喪失と再生の物語だった。2016/05/07
ミカママ
715
グロ友さんご推奨にあるまじき温かい良作品。子どもたちが絡んでくるシーンでは、涙なしに読めなかった。子どもの心理、というか子どもと向き合う大人の心理を、とても良く理解している作家さんだと思う。身近な人には優しくできないのも人ならば、それを喪うまで気づかないのもまた人。読んでいる間じゅう、私自身の大切な人たちのことを考えてました。うん、私は彼らを簡単に手離したりしないぞ。映画も楽しみにします。2016/08/05
よこしま
478
時間には限りがあること。そして愛することを怠ると代償は。◆幸夫の歪んだ性格と、大宮家の父・陽一の暴走しやすい部分は馴染めなかったですが、だからこそ、作品が活きたのかと。そんな自分も二人みたいに不器用なのですが。◆突然、家族が失ったらと自分に当てはめながら、考えさせられる作品でした。亡くなった夏子が残していた携帯メールの一文<もう愛していない>が気になります。これをどう受け取るか、幸夫だけではなく、読者も一人々々違うはず。◆苦しみながらも両家とも前に進めて、涙が出そうでした。来秋の映画化が楽しみです。2015/12/07