出版社内容情報
猫をこよなく愛した異色の浮世絵師・歌川国芳と、彼を慕うひと癖もふた癖もある弟子たちによる、愉快でほろりとくる謎解き時代小説。
反骨の浮世絵師、国芳が猫にまつわる謎に挑む。
江戸後期を代表する浮世絵師、歌川国芳。閉塞した社会状況を打破すべく、お上への批判や、滑稽な戯画、そして力強い武者絵を描き、同じ時代を生きた広重や国貞とは、また異なる持ち味で、多くの江戸っ子を魅了した稀代の浮世絵師が、一番愛した動物が猫でした。
そして、国芳は、その人柄を慕い、浮世絵師以外にも、特に、三遊亭円朝、月岡芳年、河鍋暁斎といった、後世著名となる多彩な人物たちをはじめとして、大勢の弟子を抱えたことでも知られています。
本作は、NHKドラマ化された『妻はくの一』シリーズや、そして江戸の怪事件を解決する『耳袋秘帖』シリーズなどの時代小説で、好評を博す著者が、老境に差し掛かった国芳を主人公に据え、老若男女さまざまな一癖も二癖もある愉快な弟子たちと、身の回りに起きた「猫」にまつわる事件を解決する、愉快で、ほろりとくる謎解き時代小説です。
普段は気風がよく威勢のいい国芳も老いが忍び寄り、ふと垣間見せる気弱な一面を見せ、そして、死を前に最後の恋への淡い憧れをいだくようになります。そんな絵師ならではの繊細な一面も描きつつ、そこから国芳の絵にこめられた想いを、風野真知雄ならでは、温かく、そしてユーモアあふれる筆でお楽しみください。
内容説明
お上を恐れぬ威勢の良さで知られる国芳も、老いの戸惑いから、死への興味と、そして最後の恋への憧れが泡のように、ぽつぽつと浮かぶ。そんななか、八匹の猫と、一癖も二癖もある弟子たちに囲まれた彼の周囲では、次々と「猫」にまつわる大事小事が起きて―。数々の人気時代小説で知られる著者が、持ち味の諧謔と哀感に溢れた筆致で、猫のいる日常と、淡い恋心を豊かに描きだします。
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
1951年福島県生まれ。立教大学法学部卒業。雑誌記者を経て、作家となる。93年「黒牛と妖怪」で第十七回歴史文学賞を受賞し作家デビュー。2002年に、第一回北東文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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