出版社内容情報
密命を帯び遠く京より訪れた西行が、奥州の地で目にしたものは、戦乱もなく日々穏やかに暮らす人々。ここは王道楽土か極楽浄土か。
奥州平泉で織り成す藤原秀衡と西行の交友
密命を帯び遠く京より訪れた西行が、奥州の地で目にしたものは、戦乱もなく日々穏やかに暮らす人々。ここは王道楽土か極楽浄土か。
内容説明
西行、平泉で藤原秀衡に邂逅す。内大臣頼長の密命を受け、遙か奥州平泉に向かった西行はかの地で若き藤原秀衡と出会う。末法の世に奇跡の王国を見た西行の胸に去来した想いとは。
目次
第1章 会い会いて
第2章 黄金楽土に
第3章 恋すれば
第4章 光したたる
第5章 春まだ浅し
第6章 しのぶもじずり褪せねども
第7章 いまふたたびの
著者等紹介
梓澤要[アズサワカナメ]
1953年静岡県生まれ。明治大学文学部卒業。1993年「喜娘」で第18回歴史文学賞を受賞し、作家デビュー。2007年から東洋大学大学院で仏教学を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
66
平泉にはずっと行ってみたいと思っています。この作品を読んでその思いが強くなりました。秀衡も西行もそれぞれ興味のある人物ですが、二人を合わせて考えることは今までなかったです。若い頃の二人と、そして運慶にこんな出会いがあったとしたら本当に素敵!2019/10/31
アルピニア
57
出家したての西行と、御曹司の頃の秀衡の交流を描いた作品。西行が感じた北国の大地の美しさ、豊かさ、そこに住む人々の大らかさ、逞しさが清々しく記されている。そして平泉の「光の王国」は、初代清衡の亡くなったものへの思い、二代目基衡の今生きている人々への思い、三代目秀衡の民への思いが結実したものと捉えられている。終章「名残の月明り」が世の無常を切々と感じさせる。わずか数十年の間に平氏と奥州藤原氏が相次いで滅亡したまさに激変の時。西行は見るべきもの、また常時ならば見ずに済んだもの、全てを見た思いだったに違いない。2022/07/29
アキ
32
東北出身の我が身として、京から蔑まれ虐げられてきた奥州の歴史で平泉に都があったことは誇りに思う。望んで将になった訳ではない清衡が仏教「法華経」を中心に奥州の中央の尊い寺・中尊寺を建立し、日本の東半分の鎮護国家を目指したことも、頼朝により滅亡させられ忘却の都になり果てる。秀衡と西行の生きた時代にこんな風に互いに交流があったのかもと生き生きと物語で示してくれることで、目の前に「光の王国」が現れるよう。西行が金色堂を訪れた時はさぞ驚いたことだろう。奥州藤原氏は滅ぼされたが、平泉の精神は受け継がれていって欲しい。2018/10/28
Norico
30
奥州の藤原家といえば、義経を裏切った上に源氏に滅ぼされちゃった泰衡のイメージで悪印象しかなかったのですが。西行の視点から語られる奥州というのは新鮮で、とてもイキイキしてます。秀衡があと一年でも生きてたら、結末は違ったんでしょうか。百合さんがなんかかわいそうというか。秀衡の人間性を描く上で必要な人物なのかもですが、少しだけ退場が物足りなかったかも。千手丸がとてもよかった。彼が修行時代から戻ってきて毛越寺の仏像を完成させるまでの物語も読んでみたいなぁ。2016/01/13
さら
28
図書館で表紙のカラフルさに目が行き、思わず借りてきてしまいました(笑) 不勉強で恥ずかしながら、西行という人物が人間として感じられたのは大河ドラマの「平清盛」を観てからでした。なので、西行と陸奥の藤原秀衡について書かれているこの本は興味深く読みました。いきいきと人間臭く暮らしている東国が魅力的でした。2014/02/16