色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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  • サイズ B6判/ページ数 370p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163821108
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「1Q84」がいわばジェットコースター的な物語だったので、それとは少し違うものを書いてみたいという気持ちがありました。それがどんなものなのか、書いてみないとわからなかったけど。(筆者談)

内容説明

良いニュースと悪いニュースがある。多崎つくるにとって駅をつくることは、心を世界につなぎとめておくための営みだった。あるポイントまでは…。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

1837
戻るべき場所もなく、行き着くべき場所も持たない「人生の亡命者」。この物語に引き込まれ、心を強く共振させるのは、それが多崎つくるだけのことではないからだ。物語に登場する他の4人も、そして私たちも等しく「人生の亡命者」だ。村上春樹にしては珍しく、青春を喪失した世代を主人公に描き出される「喪失」の物語。彼らにとっては、まだ先の方が長い人生なのに、既に晩年のような感さえ漂う。成長して何かを得ることは、何かを確実に失うことだからだ。ほのかな希望めいたものが最後に語られてはいるのだが。心の底に痛みを伴う物語だった。2013/04/17

遥かなる想い

1611
村上春樹の本は複数の世界を行き来する話が多い気がするが、本書も色を持つ友との世界から突然放り出されたつくるの心を描く。読んでいてなぜか懐かしい思いがするのは、誰もが学生時代グループで時間を過ごした青春時代を持つからなのだろうか。二度と戻ることはできない仲間との世界。今から16年前大学二年生の夏に一体何があったのか。仲のよかった4人はなぜ自分の人生から去っていったのか。取り戻せない過去をめぐる巡礼のような旅はなぜかひどく哀しい。素敵な時間があって、でももう二度と戻ってこない、それを改めて実感させる本だった。2013/10/26

ミカママ

922
いいよ、いいよ、いいよ~。全体に流れる静謐感、多崎つくるの清潔感、一遍の音楽がずっとバックに流れてる感じもいい。ラストで沙羅のつくるへの思いを書かなかったのも大正解ですね。いやー、久しぶりに大人向けのいい小説を読ませていただきました。一気に再読しちゃうかも。2013/05/25

にいにい

873
2014年2冊目は、久々の村上春樹さん。行列を作ってまで早く読む必要性は感じなかったが、読んだ意味はあった一冊。人生における人とのつきあい方、距離感を考えさせられる一冊。その答えは、読者一人一人が感じ取るかアカのBEYONDの客となるかだ。文中、フィンランド人以外も人生について警句を随所で述べている。読者の現状に合わせて、好きに選べるのも面白い。グレーやシロの謎は、謎のままというのも、人生じゃないかな。全てが分かるはずもない。臆病にならず、自分を信じ、自分が何を欲しているのか。ちゃんと考えてみようと思う。2014/01/05

抹茶モナカ

855
『1Q84』クラスの長編と比べると、言っちゃ悪いけど、盆栽の境地。ほぼ楽しみで書かれた小説のような感じ。過去の偉大な作家や芸術家の言葉が引用されて文中に出るけど、そういう含蓄のある言葉を自分の読書体験から引き出して来る技術は素晴らしいの一言。よく本を読み、音楽を幅広く聴いているのだろうな、と尊敬する。作品自体は、大柄な作品を意図していなかったのもあるだろうけど、少し弱い。2013/04/20

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