ギッちょん

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  • サイズ B6判/ページ数 230p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163820200
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

四十を過ぎ男は公園で暮らし始める。荒れた十代、放浪した青春は昨日のことのようにここにある。第一四七回芥川賞候補作ほか二篇。

著者・山下澄人は北海道などを拠点に活動を続けてきた劇作家、演出家、兼俳優。その劇を観に通っていた編集者のすすめで書いた小説『緑のさる』(平凡社)で昨年末に野間文芸新人賞を受賞した注目の書き手です。今回の作品集の表題作「ギッちょん」は第147回芥川賞候補作にもなりました。「ギッちょん」は、ある男の一生が、時系列をシャッフルして語られます。腕白な少年時代、荒れた十代、放浪の青春時代、ホームレスになった四十代、清掃業に就き静かに死を待つ晩年の情景が次々にたちあがってきて、次第に胸がしめつけられるような心持になります。「水の音しかしない」は、サラリーマンの不条理劇のようにはじまりながら、やがて読者は大震災後の混沌とした世界に連れて行かれていることに気付きます。「トゥンブクトゥ」では、街の雑踏で交差していた老若男女さまざまな人々の思惑が、やがて暴力的なものに変容し、決着をつけるかのように、皆が海辺へと向かいます。読むたびに変貌をとげるこの作品群は、小説の新たな地平を切り拓くことになるでしょう。

内容説明

四十過ぎてホームレスになった男。目の前を往き来するのは幼馴染み“ギッちょん”とひとりぼっちの父(「ギッちょん」)。毎朝同じ電車になる男が鬱陶しくて時間をはやめてみたら、やはり男と一緒になった。適当に話を合わせているうちに「わたし」は窮地に陥る(「水の音しかしない」)。第一部・街でゆきかう老若男女の様々な思惑、殺意。第二部・海辺のサバイバル(「トゥンブクトゥ」)。

著者等紹介

山下斥[ヤマシタスミト]
1966年、兵庫県生まれ。富良野塾二期生。1996年より劇団FICTIONを主宰、作・演出・出演を兼ねる。2005年、「ヌードゥルス」が第49回岸田國士戯曲賞候補となる。2011年より小説を発表、2012年「ギッちょん」が第147回芥川賞候補となり、年末に書き下ろし『緑のさる』(平凡社)で第34回野間文芸新人賞を受賞。現在、「YAMASHITA SUMITO+59」で文章から絵、写真、映像にいたるまでの創作活動を展開中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

47
富良野塾での若き日の「空振り」経験を描いた「しんせかい」で156回芥川賞を取った山下さん。147回同賞候補になった今作品は、散文詩を想わせるシュールな作風で、時や場所がぽんぽん入れ替わる展開が独特です。1995年の阪神大震災が執筆の原点と昨日の朝日新聞の「ひと」欄の記事に出てましたが、頻繁に海と鉄道が出てくる所にそんな神戸の片りんを感じます。たしかに「しんせかい」はこれとはぜんぜん違う趣の青春小説ですねえ。2017/01/25

おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ

32
近年、に限ったことではないが芥川賞というのは出版社の販売促進戦略であり、例えばR天などで頻繁に繰り返される「ポイント10倍!大クリアランスセール開催中!」みたいなサイトへ購買意欲をそそられるべく伺ってみると驚くことに「全品半額!」という文字が踊るので私も踊りつつ徘徊してみれば、よく見ると「半額!(指定店舗内)」とか書かれており、それらの商品は元値がおいくら万円だったものか判然としないものが多くて、世の中というものはトランプ大統領みたいな人が多くて食物連鎖の末端に生きるミジンコの私などには難儀でございます。2017/02/02

keroppi

29
芥川賞の山下澄人さん、図書館で見つけた本。時間や空間を超越するような文体、日常の意識の不確実性を煽るような文章、難解なようで、この不思議な世界に入り込んでしまった、2017/01/27

とら

23
夢みたいな小説だなあと。最近意識して自分の夢を見る時があって、その時の感覚に近いものがある。脈絡もなくシーンが変わったりするのが夢である。しかしそれに違和感を感じたりすることはなくて、受け入れて、物語は進んで、そして勝手に終わる。起きたとき余韻が少し残ったりする。それが良い余韻だった場合どこかに書き留めたくなる時が自分にはあったりする。なんというか、もしかしたらこの作品、山下さんのそう言う夢日記的な作品なのかもと少し思った。目まぐるしく視点は変わるけれど、何故か流れるように読めてしまう。不思議。2017/12/27

yozora

11
「セザンヌの塗り残しのようなことを小説でやる」と山下澄人さんはツイッターで仰っていたけど、まさにその通りでキュビズムの文体になっている。かつてのヌーボォロマンの作家は、おそらくその前の20世紀初頭のキュビズムやダダからシュールらへんの技法を再興させようとした。それを日本の現代で引き継ぐ稀有な作家のひとりと言っていい。 2019/07/27

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