花鳥の夢

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  • サイズ B6判/ページ数 483p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163819303
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

狩野派の中でも特別な才に恵まれ、信長や秀吉にもその絵を求められた永徳。絵を描く『業』に取りつかれた永徳が辿り着いた境地とは。

内容説明

天才絵師・狩野永徳の恍惚と不安。稀代の名作『洛中洛外図』を描き、時代を席巻した永徳。―あの男は、どうしておれを苛立たせるのか。長谷川等伯への嫉妬に身悶えしながら、画境の極みを目指す。絵師の業を極限まで描く、傑作長編。

著者等紹介

山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年、京都市生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞を受賞。2004年「火天の城」で第十一回松本清張賞を受賞。09年『利休にたずねよ』で第一四〇回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

126
絵師狩野永徳の人生を描いた作品。狩野派は安倍龍太郎の「等伯」では天才等伯の台頭を妬む完全なヒール役として描かれていた。等伯の凄さを認め、憧れ賞賛もするが、才能があるがゆえにその天分を妬み、嫉妬もしたのであろう。しかしながら、永徳の絵に対する純粋な想いは等伯のそれをも上回っていたかもしれない。流れゆく季節、眼前に広がる景色その一瞬を捕え、一枚の絵に封じ込める。彼もまちがいなく天才であったのだ。それは、数百年の時を経た歴史が証明している。最後は命を懸けてまで絵に捧げた人生、彼は幸せであったのだろうか。★★★★2014/11/14

文庫フリーク@灯れ松明の火

116
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。不自由を常と思へば不足なく、心に望み起こらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思へ。勝つことばかり知りて負くること知らざれば、害その身に至る。己を責めて人を責むるな。及ばざるは過ぎたるより勝れり」もし永徳が家康公遺訓を識り得たなら、背負った業(ごう)の重みは減じただろうか。絵に限らず、優れた表現者には「狂」を感じる熱量が有る。先に読んだ安倍氏『等伯』ではあまりに人間臭く卑小だった永徳。この『花鳥の夢』では自らの狭量を自覚→2013/08/30

優希

103
筆と墨で濃淡を彩りながら描く世界が広がっているようでした。狩野派といえば日本画の一大流派という印象しかなかったのですが、永徳の姿を通じて見えるのは絵と真剣に向き合うがあまりの葛藤でした。絵師としての才能を持っていても、永徳独自の絵としては認められず、あくまで「狩野派の絵」として見られることは自らにのしかかる重みであり、だからこそ悩むことも多かったのでしょう。それでも自分の絵を描きたいという情熱で夢中に描き続ける永徳に惹かれました。面白かったです。2017/08/12

あすなろ

102
時に才に溺れ一門の持つプライドに押されながら、類稀な絵師の才を突出させるとする狩野永徳を描く。信長や秀吉、千利休に腕が縮こまっていると指摘されるシーンが永徳の葛藤描写と共に秀逸。ラストに至るまで葛藤描写あるが、息詰まることも。さて、安部氏等伯の読了後の比較として本作を選んだが正解。豪華絢爛で押しつける画風の永徳に比し、観る者の居場所確保を考慮した余白ある等伯の対決。等伯につき、安部氏と山本氏の描写が結構違うところが興味深い。秀吉の描写は、不思議と同じく絵心があったとする。珍しく比較テーマの読書を堪能。2015/02/05

ナイスネイチャ

96
映画「アマデウス」を思い出しました。天才モーツァルトに嫉妬するサリエリの如く、長谷川等伯に嫉妬する永徳。天才等伯の作品が素晴らしいと判断出来る能力は備わっているが、それが造り出せない永徳が苦悩していく。安部龍太郎著「等伯」の読了後がオススメです。2014/06/14

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