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名もなき花の―紅雲町珈琲屋こよみ

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  • サイズ B6判/ページ数 286p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163818603
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

お草さんが珈琲を仕入れるミトモ珈琲商会が代替わり。二代目の女社長には小蔵屋の近くに出店する計画が……。人気シリーズ第三弾。

北関東のとある地方都市の一角、観音さまが見下ろす街、紅雲町で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草。人々を温かく見守り続ける彼女は、無料のコーヒーを目当てに訪れる常連たちとの会話がきっかけで、街で起きた小さな事件の存在に気づいていく人気シリーズ第三弾。今回は、お草さんが、コーヒーを仕入れるミトモ珈琲商会が、紅雲町のある街に出店を計画。ミトモでは、二代目の若手女性社長・令が紅雲町をリサーチしていた。珈琲豆の仕入れに不安を感じたお草さんは、懇意であるミトモ初代社長に相談へ行くが、社長になった娘の令と、彼女をサポートする井(い)との対応で、逆に三友から相談されてしまう(「長月、ひと雨ごとに」)。紅雲町の青果店に持ち上がった産地偽装問題を記事にしようと、意欲に燃えている新聞記者の萩尾。だが、事件の背景には、意外な事情があった。萩尾の元の雇い主で、お草さんのコーヒーの師匠であるレストラン「ポンヌフアン」であるバクサンこと寺田博三は、正義感が先行し、ややあぶなかったしい萩尾を心配して、青果店と同じ町に住むお草にお目付け役を依頼する(「霜月の虹」)。お草は、この事件を通して、草の友人である由紀乃のいとこのかつての夫で、萩尾の民俗学の師匠である勅使河原先生と、その娘の美容師・ミナホとも関わることになる。草から見る、萩尾とミナホの関係は、どこかギクシャクとした不思議な関係だった。そんななか、勅使河原先生に論文盗用の疑惑が持ちあがる。そして、論文盗用疑惑をきっかけに、三人の止まっていた時が動き出そうとしていた……。「萩を揺らす雨」でブレイクした著者が、お草さんと彼女をとりまく街の人々の生活を通して、四季を描きつつ、お草さんならではの機転と、ささやかな気配り、そして豊富な人生経験から、小さなトラブルを解決していく滋味あふれる短編連作小説集。

内容説明

ある小さな「事件」をきっかけに止まった人々の時間。お草さんは、時計の針を動かすことができるのか。

著者等紹介

吉永南央[ヨシナガナオ]
1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、「紅雲町のお草」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。08年、同作を含む『紅雲町ものがたり』(文庫化に際し『萩を揺らす雨』に改題)で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あつひめ

96
物語の幕開けからひっそりと幕が降りるまで紅雲町の季節が巡る。人には言えない、いや…言ってしまったら本当の事だったと自分が認めなくてはならなくなるから…語らない事があると思う。一人で悩まないでという優しさもあるが、抱えるしかないかな…と思って生きている人の方が大半かも知れない。思い出話は、楽しいことを思い出す方がいい。今回は、お店の中でのお草さんが少ない気がした。気持ちが外に向いている。小蔵屋のコーヒーの香りに包まれた中で、ゆっくりお草さんの話が聞きたいな。2013/12/06

ひめありす@灯れ松明の火

76
名もなき花に、誰かが呼びかけるのだろう。名もなき花の成功も、失敗も、誰も知らない。代わりに誰もその花の名前を呼ばない。名前を喪った花は、ひらひら、ひらひらと花弁を散らしていつか姿を消すのだろうか。雑草と言う名前の植物はないけれど、草という名の名探偵はいる。齢七十にして安楽椅子ならぬアクティブ探偵。十八年前の師弟の確執、若い人の切なさ、友の病、己の過去と未来。いつだって『今』に取り残されたままの私達。花が散った事なんて、覚えていない。だけど代わりに、そこに花が咲いていたという記憶を掬い上げて、胸に抱いている2013/05/19

nyanco

62
シリーズ第三弾、お草さんの人柄が作品に滲み出て本当に良いシリーズになっています。 季節をほんの少しだけ先取りし、普段の暮らしの中にほんの少しだけ華やぎや心を休めてくれる何かを提案する「小蔵屋」が本当にイイ。こんな店が家の近所にあったらいいな。久実ちゃん、バクサンといった定番キャラとの関わり方も、しっくりとしてきました。前作では痴呆が心配された由紀乃さんも落ち着いて一安心。萩尾とミナホのことは心配だけれども先に灯りがほんのりと灯りそうかな。続→ 2013/01/21

紅はこべ

59
2作目を飛ばして3作目。短編集というより連作長編か。お草さんが話さずに胸にしまいこんでおくことが多すぎる気がする。それが年を経た人の思慮、思いやりなんだろうけど。でもちょっと苛っとした。アラサーの恋愛がこじれると難しいね。それが10代の浅はかな行為に端を発すると思うとやり切れない。お草さんと由紀乃さんの関係が羨ましい。年を取っての友達って貴重だもの。貴美路さんの生き方も凄いと思った。風景、料理、コーヒー、全て美しく、美味しそうです。2015/01/23

くりきんとん99

58
シリーズ3作目。お草さんの身の回りで起きるちょっとした出来事や謎。そして十数年前の事件。前作もそうだったけど、今作もわりと深刻な問題が描かれ、お草さんの胸の痛みが読んでいて伝わってくる。次作はもっときびきび元気なお草さんを読みたいかな。2013/01/11

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