路(ルウ)

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  • サイズ B6判/ページ数 447p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163817903
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

台湾新幹線の着工から開業までの巨大プロジェクトに、商社員や整備士、湾生の老人など、個人のドラマを重ねて描いた著者の渾身作

1999年、台湾に日本の新幹線が走ることになり、入社4年目の商社員、多田春香は現地への出向が決まった。春香には忘れられない思い出があった。台湾を旅した学生時代、
よく知らないまま一日を一緒に過ごした青年がいた。連絡先をなくし、それ以後ずっと会えないままだった……。台湾と日本の仕事のやり方の違いに翻弄される日本人商社員、車輛工場の建設をグアバ畑の中から眺めていた台湾人学生、台湾で生まれ育ち終戦後に日本に帰ってきた日本人老人、そして日本に留学し建築士として日本で働く台湾人青年。
それぞれをめぐる深いドラマがあり、それらが台湾新幹線の着工から開業までの大きなプロジェクトに絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描く『路(ルビ:ルウ)』。大きな感動を呼ぶ、吉田修一さんの渾身の力作です。

内容説明

ホテルの前でエリックからメモを渡された。彼の電話番号だった。「国番号も書いてあるから」とエリックは言った。すぐに春香も自分の電話番号を渡そうと思った。しかしエリックが、「電話、待ってる」と言う。「電話を待っている」と言われたはずなのに、春香の耳には「信じてる」と聞こえた。春香は自分の番号を渡さなかった。信じている、あなたを、運命を、思いを、力を―。商社員、湾生の老人、建築家、車輛工場員…台湾新幹線をめぐる日台の人々のあたたかな絆を描いた渾身の感動長篇。

著者等紹介

吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。97年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。02年『パレード』で第15回山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞を受賞、07年『悪人』で第61回毎日出版文化賞、第34回大佛次郎賞、10年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

363
読み終わった今、静かに号泣しています。(日本語変?)この物語には私の好きな①人と人とのふれあい、②日本人のプライドと技術力(新幹線!)そして最後に③すれ違い続ける恋愛、のすべてがありました。来年の帰国時の旅行は台湾にしたい、とも。「小説の中でかっこいい職業って必ず建築家なんだよな~」と建築家の友人に言ったら「建築家は哲学者でもあるからな」だそうで。これが最高の小説であるかどうかはわかりませんが、私にとって最上の小説であることは間違いないです。一生吉田修一さんについて行こう、と再決心しました。笑2015/07/16

にいにい

272
台湾新幹線開業までの7年間、新幹線建設の歩みとともに、美香、人豪、威志、勝一郎、安西などの様々な人々の仕事やプライベート、恋愛、悩みやその他の出来事が綴られていく。台湾の情景・料理、生活を疑似体験させてもらいながら、特に大きな盛り上がりはないが、心の行き違い持つ人々が一本に。路(線路)に凝縮されていく。吉田さんの描く人間模様、人生ってこんなものかも。登場人物たちの交差、温かさが気持ちいい。台湾に行きたくなる一冊。2016/01/30

まちゃ

266
台湾新幹線プロジェクトに絡めて日本と台湾の間の個人の絆を描いた物語です。素直に感動しました。多田春香と劉人豪のほのかな恋愛、勝一郎と呂燿宗(中野赳夫)の切ない友情。屋台をはじめとした台湾の文化と風土が大変魅力的で、台湾を旅してみたくなります。2015/08/14

あすなろ

256
台湾の郷愁を帯びる情景とそこで少し心をゆっくりと生きる人と、三百キロを達成した高鉄、即ち日本の台湾新幹線を描く。吉田氏は、新幹線の技術論に陥ることなく、台湾と我が国の架け橋になるような秀逸な作品を描いたと思う。純粋に行ったことない台湾を訪れてみたい。更に、複数描かれるストーリーの中、やはり時を超えたラブストーリーと成長ストーリーは、一際心打つものがあった。ミカママさん・ゆりのきさん。佐島さん。もっと早く読めば良かったというぐらいいい作品でした。2015/08/27

hiro

243
『7月24日通り』や『悪人』は映画を観ているが、吉田修一さんの作品を読むのは始めて。新聞の書評を読んですぐに図書館で予約した。台湾新幹線建設のために台湾で働く春香、同僚の安西、戦前に台湾で生まれ育った葉山、車輛工場で働くようになる陳威志、そして台湾を訪れた春香と一日だけすごしたが、その後連絡がとれなくなり、今は日本で働く劉人豪の5人それぞれ話が、新幹線の建設が進むにつれて、一つに収斂していく。特に余韻を残すラストが好きだ。春香と人豪が出会った淡水には以前行ったことがあるが、もう一度行ってみたくなった。 2013/02/04

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