出版社内容情報
松本清張賞最年少受賞、スケールと想像力で選考委員を驚嘆させた期待の時代ファンタジー。華麗に謎めく后選び物語の意外な結末は!?
内容説明
八咫烏が支配する世界で始まった、世継ぎの若宮の后選び。宮廷に集められた四人の姫それぞれの陰謀や恋心が火花を散らす。だが肝心の若宮が一向に現れないままに次々と事件が!失踪する侍女、後宮への侵入者、謎の手紙…。后選びの妨害者は誰なのか?そして若宮に選ばれるのは誰なのか?第19回松本清張賞最年少受賞。
著者等紹介
阿部智里[アベチサト]
1991年群馬県生まれ。2012年、早稲田大学文化構想学部在学中に『烏に単は似合わない』で第19回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文庫フリーク@灯れ松明の火
265
序章でミスリード誘い終章でひっくり返す。性格悪いぞ阿部智里さん(褒めてます)人間の姿ながら、その真の姿は霊獣たる三本足の烏【八咫烏】その一族の族長(宗家)皇太子の后選びに宮廷に上がった名門四家の姫君たち四人。姉の代わりに急遽登殿した桜の精のような東家の姫・あせび。すらりとした長身の凛々しい南家の姫・浜木綿。華やかで艶めかしい西の家の姫・真赭の薄。神々しいまでに白く眩い肌の北家の姫・白珠。四人の姫が若宮待つ桜花宮で起こる事件に、ようやく姿を現した食えない皇太子・若宮の明晰な推理と果断な処置。見事に反転する→2015/07/12
hiro
227
最年少で松本清張賞を受賞した阿部智里さんの作品。最年少で芥川賞を受賞した綿矢りささん、男性として最年少で直木賞を受賞した朝井リョウさんと、最年少でメジャーな文学賞を受賞する人は、なぜだかみんなW大。読み始めるまでは、平安時代の物語かと思ったが、阿部さんが生み出した八咫烏が支配する世界を描いたファンタジー小説だった。このようなスケールの大きな物語が作れ、そしてこの世界観を読者に理解させる文章力は、さすがだと思う。ただ、文章からではなく、表紙の絵によって、四人の姫君のイメージができてしまったのは残念だった。2013/02/20
はじめさん
188
2017年2月19日(日)香川県高松市にて「烏に単は似合わない」を課題図書とした読書会を開催します。お近くの方で都合のあう方は是非。【読メイベントページ】 http://bookmeter.com/event/event_show.php?id=40102017/01/30
フェリシティ
157
松本清張賞最年少受賞作品。設定が秀逸です。若宮の后の座を巡って、四人の姫が競い合う。あせび、浜木綿、真赭の薄、白珠は、それぞれ楽人、商人、文人、武人を多く輩出する名門の娘。キャラクターの発想がいいですね。誰が后になるんだろう?とワクワクします。しかし、ただ美貌と才気を競うのではなく、勝負は政治的背景や陰謀をはらんでいき、大奥のようなドロドロ模様に(好きだからよし)。殺人事件まで発生して、肝心の若宮は現れないし、一体どうなるの!と最後までハラハラさせられます。設定、人物、もう少し掘り下げてほしかったです。2014/04/07
ちはや@灯れ松明の火
153
君がためどんな衣を纏おうか。華やかに、涼やかに、艶やかに、淑やかに、日の如く輝く君を待ちわびて、春夏秋冬四人の美姫が咲き誇る。選ばれる桜の花はひとりだけ、しづ心なく火花散るらん。紅、瑠璃紺、蘇芳、薄青、重ねた単の奥深く秘めるは思慕か陰謀か。東西南北四家の思惑絡みあい、立てる波風、揺らぐ藤の花、主不在で巡る季節に落ちる影。衣に隠した素顔がのぞく、一途な想いが血を招く、これもすべては君がため。ふたたびの桜に誓う、ただひとり、あなたが傍に居ればいい。絢爛豪華な衣装より、あなたと並び空を翔ぶ黒い翼があればいい。 2013/02/14