出版社内容情報
「私」はどうやって「私」になっていったのだろうか。人生と時代への諦観と進取の志に揺れる青春を緻密に描ききった自伝的小説。
内容説明
山の手・青山で工場を営んだ母方の祖父との交流を軸に、往時の東京に生きる“私”の、時代と人生への諦念と進取の志を活写する。
著者等紹介
小林信彦[コバヤシノブヒコ]
昭和7(1932)年、東京生れ。早稲田大学文学部英文学科卒業。翻訳推理小説雑誌編集長を経て作家になる。昭和48(1973)年、「日本の喜劇人」で芸術選奨文部大臣新人賞受賞。「丘の一族」「家の旗」などで芥川賞候補。平成18(2006)年、『うらなり』で第五十四回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
角
5
「東京少年」「日本橋バビロン」と続いた三部作完結編。母方の祖父の人生を追っているが、残念なことに前二作ほどテーマに切実さが感じることができなかった。下町と山の手の対比……がしたかったのだろうが、もう少し祖父の人生をうまくストーリーに組み込んでほしかった。新作が読めたことはうれしいのではあるが。2011/10/06
yuzuriha satoshi
5
両国下町三部作・第三部 全二作では主人公の実家を中心に描いてきた 今回は青山に住む母方の祖父の人生を追いながら 下町自宅と山の手の学校での二重生活 裕福な母方と没落していく実家 相反するベクトルの中で主人公自身も心のバランスを失っていく 万引きを正当化しようとする主人公の心が痛い 戦後急速に変わっていく下町・両国日本橋、山の手・青山、横浜の風物が沁みる 創作ノートで3.11のことに作者が触れている その衝撃を乗り越えて今をどう描くのか次作に期待している2011/10/17
kobaken
4
三部作の完結編。前二作同様、当時の風俗、生活等がリアルに響いてきます。小林氏の個人史ではありますが、何というか普遍的な人の営み、家族の物語として感じられ、そしてそれを読む喜びを確かに感じるのです。うまく言えませんが…。ともあれ、これからも著者の新作が読めることを切に願います。2012/01/28
しんこい
4
下町の話から今度は母方の実家、山の手の屋敷が登場、全く違う世界だったらしいのですが、想像外です。ともあれ新作が読めたのはありがたい事です。流れるでなくて、流されるなのですね。2011/09/29
こばりん2548
3
日本橋3部作の最後、エンドの弟の小林ヤスヒコの生活の描写が秀逸。 2011/08/20
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- 和書
- 今日も映画日和 文春文庫