出版社内容情報
吸血鬼・ストリゴイを崇拝する新興宗教・神霊壽血教の教会で、教主一家を襲った血塗られた惨劇に、心理学的推理で挑む夷戸武比古。
内容説明
東京・雑司ヶ谷霊園の裏に教会を構える神霊壽血教。教主・印南尊血の様子がおかしいとの相談を受け、心理学を学ぶ大学院生・夷戸武比古は教会を訪れる。あらゆる用事を放り出して、ひたすら観覧車に見入る教主に戸惑う夷戸、やがて教主の娘が密室で変死を遂げ、血塗られた惨劇の幕が切っておとされる。吸血神・ストリゴイを崇拝する奇怪な教団に巣食う邪悪な殺意に、心理学的推理で挑む夷戸。総本部教会でくり返される自殺の連鎖。だが―探偵小説とB級ホラー映画をこよなく愛する新鋭が贈る傑作心理学ミステリー。
著者等紹介
倉野憲比古[クラノノリヒコ]
1974年、福岡県大野城市生まれ。2008年に『スノウブラインド』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
68
吸血鬼ストリゴイを本尊とする新宗教。その教主の娘が密室で殺された。それを皮切りに続発する殺人。と波長が合いそうな人には堪らない物語となっている。内容も衒学に満ち溢れていて、戦前の探偵小説を偏愛する人には好みにぴったり合いそう。ただ事件解決が心理学精神分析学がベースとなっているため、現実的に解決されるというよりは現実に先立って理論があるように感じてしまう。直接影響を与えているのがフロイトやユングな為に、余計にそう感じるのかな。ただそれも外連味に拍車をかけているので苦にはならず。好きな人には堪らない一冊かと。2023/02/21
雪紫
65
吸血鬼を崇拝する新興宗教で教主一族が自殺か他殺か、自殺教唆か不明な状況で次々変死していく。窓から見える観覧車に魅せられた教主。批判的な幹部の盲目の娘、信ずるものを別にする信者兄弟。「スノウブラインド」のようにイニシエ以前の乾さんや積木さん向けではないものの、念入りな説明による吸血鬼の影が呼ぶじっとりとした雰囲気、自殺か他殺か教唆か、解釈成立を誤るかのように現わる狂乱、それでも答えを求めずにはいられない、また目的を達成したその先にある不安定さが独特のゴシックホラーミステリを最後まで形作る。好みの世界。2022/10/10
うまる
34
シリーズ2冊目。吸血鬼信仰に当主の死の連鎖と、今回も怪しい雰囲気全開。そんな中でも、夷戸の恋バナが含まれているのが微笑ましく、今回はそのオチにフフッてなりました。前作よりしっかりミステリしてたし、薀蓄も控えめ、観覧車萌えな心理学が興味深くて面白かったです。前作で良いキャラだなと思っていた先輩の根津さんが出てきたのが嬉しい。社会人になっても変わらず型破りな所が良いですね。2作とも好みだったので、 10年ぶりの3作目に期待が高まります。2022/04/22
ホームズ
15
最初からホラーのような物と思って読んだのでそれなりに楽しめたのかな(笑)ミステリとしてはイマイチだったかな~(笑)観覧車に魅かれる主人や盲目の少女、不思議な塔など面白い雰囲気はあるのに上手く活かしきれていない感じが強いな~。なんかこのコンビで他の事件もあるようなのでちょっと読んでみたいかな~(笑)2012/10/22
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
15
大学の友人からの紹介で墓地裏にある家を訪ねることになった夷戸。その家は吸血神ストリゴイを崇拝する新興宗教・神霊壽血教の総本部教会で・・。犯人捜しというよりも色々とこじつけて自殺という風にもっていこうとしているというか。ちょっと一風変わったミステリーでした。心理学の勉強にはなりましたが、もっとおどろおどろしいホラー要素がたっぷりの話を期待していたので、その点ではちょっと期待外れだったかな。血を何よりも崇拝しキリスト教からすれば悪魔崇拝と変わらない宗教。設定的には面白かったのに残念です。★★★2011/11/12