二・二六事件蹶起将校 最後の手記

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  • サイズ B6判/ページ数 231p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163760803
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

安藤輝三から事件のことを書き残してくれと頼まれた山本又。その獄中手記を初公開。事件直前に蹶起趣意書から突如削られた一文とは。

山本又予備役少尉は、事件後に安藤輝三大尉から「二・二六日本革命史を書いてください」と託された。裁判で禁固10年の判決を受けた山本は、安藤大尉の意を受けて、小菅刑務所の中で手記を書き始める。遺族がこの手記を発見したのは、2008年。蹶起将校の未公表手記が世に出るのは、おそらくこれが最後と思われる。
山本は、こう書き始めている。「獄中看守ノ嚴シクナイ夜中ニ手記ス。記事前后スルアリ、乱筆アリ、唯眞相ヲ後世ニ伝エントス」。そこには事件前夜に磯部浅一とともに歩兵第一連隊に向う場面(実は尾行されていた)から、獄中で同志が銃殺される音を聞いた瞬間までもが描かれている。
また山本は蹶起趣意書をガリ版で切る役を任されていたが、その直前、村中孝次の原案から、突如22文字が削られることになった。その一文とは――。
陸相官邸に当日朝乗り込んできた石原莞爾を誰何したのは山本だった。石原は「見当たり次第、殺害すべき人物」に指定されていたが、山本は「コノ人ヲモ亦味方ニセントス」と考え、案内したという。陸軍大臣告示の「蹶起ノ趣旨ニ就テハ天聽ニ達セラレアリ」に大喜びする将校たちの様子や、真崎甚三郎や寺内寿一ら軍事参議官との談判など、その場に居た者ならではの臨場感に富む描写がなされている。
山本は当時、42歳。20代~30代が中心の青年将校より一世代上のため、一歩引いたスタンスで事件を見つめている。また、各部隊との連絡役だったため、二・二六事件を網羅的に記述している。
大詔渙発か、討伐か――。情報が入り乱れる中、それを確認すべく、山本は石原や香椎戒厳司令官と単独で会見している。果たして、幹部たちはどう答えたのか。
出所後、敗戦を迎えた山本は、ひとり山小屋にこもり、悲憤の中で死んでいった。

内容説明

一兵卒から叩き上げの予備少尉42歳。なぜ年齢も属性も異なる山本又が蹶起に参加したのか。しかも事件後には山王ホテルからただ一人逃亡(4日後に自首)。青年将校たちの中で異彩をはなつ山本又の謎がいま明かされる。新発見・獄中手記。

目次

序文 山本又と安藤輝三の不思議な縁
第1部 現代語訳『二・二六日本革命史』
第2部 原文『二・二六日本革命史』
解説 事件の観察者

著者等紹介

山本又[ヤマモトマタ]
1895(明治28)年、静岡生まれ。志願兵として陸軍に入隊し、静岡歩兵第34連隊に所属。1930(昭和5)年に予備役となり、在郷軍人会分会長を経て教員免許を取得して上京。二・二六事件の首謀者・磯部浅一と交流を深め、蹶起に参加。禁錮10年の判決を受けた。1952(昭和27)年に57歳で死去。2008(平成20)年に獄中手記が遺族によって発見された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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レアル

50
この本の中でも紹介されている2.26事件の前史ともいえる清張の「昭和史発掘8」を読んでいる事もあり興味を持ち手に取った。こちら山本又の手記である。唯一後世にこの事件を伝えられる立場となったこの著者が2.26事件の生々しさを伝える。清張と違って平易な文章で読みやすい。ただ時代背景を知らないとこの事件も単なるクーデターで終わってしまいそう。。そう思うと清張に感謝かな!2016/12/20

マッピー

15
20代後半からせいぜい野中大尉が35歳くらいだったか、若い人たちの起こした事件だったけど、山本又という人は彼らより10歳ばかり年長の、退役軍人。戦争なんかしている場合か、疲弊した農村を救えと言うのが最初から最後まで彼らの主張である。けれどその主張は捻じ曲げられ、権力闘争のタネに使われ、踏みにじられた。”思わなかった、思わなかった、暗黒裁判だとは。予審はことごとく彼らの憶測と推断によって、でっちあげられた。われわれの陳述は千分の一も事実がない。本当に事実がない。”あまりに純粋過ぎたよなあ。2021/06/24

3939タスタク

14
昭和初期の混沌とした時代に起きた軍事クーデター、云わずと知れた2・26事件についての手記である。おそらく陸軍上層部が関与し、青年将校達を扇動させながらも、すべての責任を青年将校達に押し付けた感は否めない。理想の国家建設の為の革命だったのだろうが、皮肉にもこの事件をきっかけに日本は戦争の道をひた進む事になる。2013/04/23

Madoka.@書店員復帰を目指し中!

8
今まで読んだ二二六事件の書籍のなかで一番生々しい。二二六事件の当事者が書いたものだからかもしれない。野中四郎歩兵大尉のお言葉がすごく身に沁みる。この国を良くしようと動いた若者たちの力を無駄にしてはいけない。2013/02/25

keint

6
過去に読んだが、死罪を免れた青年将校(というには年がいっているが)による記録のため大いに参考になった。

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