沈黙のひと

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 373p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163758404
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

亡き父が遺した日記には娘への愛、家族との不仲、そして恋人との魂の交流が記されていた。生と死、家族を問い直す入魂の感動作

幼い頃に家を出て、新しい家族を持った父は晩年パーキンソン病を患い、最期は口を利くこともできずに亡くなった。遺された手紙や短歌から見えてくる、後妻家族との相剋、秘めたる恋、娘である「私」への想い。父の赤裸々な「生」を振り返ることで、生きる意味、死ぬ意味、そして、家族という形のありようが見え、物語世界に光が差し込んでくる──。
恋愛小説を中心に、濃密な心理描写で知られる作者の新境地ともいえる本作中に引かれた短歌は、亡くなられた作者の実父が実際に詠んだもの。作者の「何か不思議な力が書かせた作品で、私にとっての生涯の勝負作です」との言葉の通り、心の奥底を静かに、深く揺さぶる傑作です。

内容説明

パーキンソン病を患い、沈黙のうちに亡くなった父。遺された文書と手紙には、絶望に直面してもなお、家族や恋人への愛、短歌への情熱と共に生きたその揺るぎない足跡が刻まれていた―。圧倒的な人間讃歌。生きるとは?死ぬとは?家族とは?著者渾身の感動作。

著者等紹介

小池真理子[コイケマリコ]
1952年、東京生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「妻の女友達」で第42回日本推理作家協会賞(短編部門)、96年『恋』で第114回直木賞、98年『欲望』で第5回島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で第19回柴田錬三郎賞、『無花果の森』で2011年文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 3件/全3件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

405
「あとがき」の「本書は亡き父に捧げる」で閉じられる物語。実父をモデルに書かれた小説だが、作中の短歌は大いにわかるが、その一方で泰造が晩年にパーキンソン病を患い、身体が甚だしく不自由になった中でアダルト・ヴィデオを見たり、老女のヌード写真集を眺めるなど(もちろん、フィクションとして書かれているが)までを語る。それも「老い」の姿なのだろう。動かない身体、ままならない言語、残酷なまでに生の末路が描かれるのである。そして、そこに本書の価値が見いだせるのだが、同時に娘の側からの父への強い思慕も語られる。⇒2022/12/28

遥かなる想い

187
パーソンキン病を患い、沈黙のまま 亡くなった父の人生を通して、家族愛について 描いた作品である。 本作品の中に 登場する短歌などは 著者の 実父のものらしく、小池真理子の 父への鎮魂歌となる作品である。 そのせいなのか、著者にしては、ひどく落ち着いた物語なのだが… 父と母の生きてきた人生が 静かに描かれ、 著者の別の一面が見えたような、そんな作品だった。 2019/09/10

ミカママ

185
軽快な恋愛小説、またはミステリーを描く作家さん、のイメージを裏切って、これは重かった。作家生命をかけて書かれた私小説なのでは。私の心に重しをつけて沈んだ事項のみを簡潔に書き留めると、人生の終焉の迎え方、そして私自身の父・母との向き合い方、といったところか。納得いかないのが、衿子が家族には無関心、といいつつ自分や母を捨てた父への献身と愛情。その辺、もう少し心理描写が欲しかった。物語は、衿子と吉森が付き合う予感で終わるんだけど、20歳以上年下の男性との恋愛がどんな様相になるのか、それも読んでみたい気がする。2015/11/16

美雀(みすず)

83
一生涯に二つの家庭を持った父親…。妻と長女を捨てて、浮気相手の元に走った。二度目の家庭は幸せではなくて、可哀想でした。本当は前妻と長女の所に帰りたかったのでしょうね。亡き父が介護施設を利用していたので、その当時の事が思い出されました。2014/03/30

ぶんこ

79
パーキンソン病が進行し、歩く事も話す事も出来なくなった父。「沈黙のひと」は父のことだった。その父は小学生低学年の娘と妻を捨て、不倫相手と別世帯を持つ。きつい言い方を敢えてしますが、不倫する人は何度でもする。仙台単身赴任中にも不倫していた?私には衿子さんや久子さんのような大らかな心はないなぁ。終末期を迎えた父との純文学と思おうとしたのですが、無理。ただ文中の短歌には心動かされました。短歌の世界に興味津々。三十一文字に籠められる情感が、簡潔だけにより心に響きます。2016/10/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/5537772
  • ご注意事項

最近チェックした商品