出版社内容情報
本巻は真珠湾攻撃から終戦までを扱う。聖断はいかに下されたか。「文藝春秋」好評連載中の著者ライワーク、クライマックスへ!
昭和天皇とその生きた時代を丸ごと描き出す著者のライフワーク第六部。本巻は、昭和16年の真珠湾攻撃から、昭和20年の終戦までを扱う。緒戦の快進撃もあえなく、ミッドウェー海戦、ガダルカナル、サイパン陥落、マリアナ沖海戦……と戦況は悪化の一途を辿る。軍神山本五十六を失った日本軍は、ついに無謀な特攻作戦に突き進んでいく。一方、銃後では小学生たちが疎開を強いられ、文学者や芸人たちは仕事の場を狭められていった。そして、東京大空襲、戦艦大和沈没、同盟国イタリア・ドイツの降伏、硫黄島玉砕、沖縄戦……ついに帝国の命運が尽きる日が近づいてきた。広島・長崎の原爆投下、そして「聖断」はいかに下されたのか。
昭和天皇が戦争終結に向け、自らの退位も視野に入れ軍部の説得にあたった過程が、近年さまざまな資料によって明らかになってきた。その成果を駆使しながら、著者は文芸評論家ならではのビビッドな筆で、裕仁その人の苦悩を鮮やかに描き出す。あの戦争は何だったのかを振り返るのに格好の一冊。
登場するのは、東條英機、源田実、辻政信、嶋田繁太郎、小磯国昭、山下奉文、大西瀧次郎、木戸幸一、近衛文麿、中野正剛、獅子文六、川口松太郎、武田泰淳、伊藤整、山田風太郎、無着成恭、ミヤコ蝶々、古川ロッパ、杉村春子、志ん生、スターリン、チャーチル、ルーズベルト、ヒットラー、ムッソリーニ、ボース、キャパなど数十人以上。
内容説明
ミッドウェー海戦を機に戦局は悪化の一途を辿る。山本五十六の戦死、サイパン陥落、東京大空襲…戦争終結の道を探り、苦悩する君主。そしてついに運命の御前会議がやってきた。天皇という軸の下に、現代史のあらゆる事件、人物を描く傑作評伝。
目次
真珠湾
ミッドウェー海戦
戦果奉告
国葬
ムッソリーニ失脚
戦時の君主
東條失脚
神州にありて
特攻
近衛上奏
東京大空襲
皇居炎上
原爆投下さる
聖断
著者等紹介
福田和也[フクダカズヤ]
1960年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。現在、慶應義塾大学教授。文芸評論家として文壇、論壇で活躍中。93年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、96年『甘美な人生』で平林たい子文学賞、2002年には、『地ひらく―石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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