出版社内容情報
軽妙にして洒脱、重厚にして深遠。随筆の名手が書き継いできた硬軟さまざまの未刊行エッセイを収録。随筆なのに、泣けてくる。
内容説明
言葉の魔術に、酔いしれる。生き別れた母を想い、馬と戯れ、小説の神様と向き合う。人気作家の「心わしづかみ」エッセイ集。
目次
第1章 プラットホームにて
第2章 二人の母
第3章 骨のかけら
第4章 器用貧乏
第5章 ダビドフのパイプ
第6章 小説家という聖域
第7章 競馬場で会おう!
第8章 英雄の足跡
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
114
浅田さんのエッセイは色んな顔を持つ。これは真剣で正座して読みたくなるような1冊。氏が幼少の砌通われたミッションスクールのクラス会で思い出したこと。拝礼後の担任の言葉が「きみはう嘘つきだから、小説家にでもなればいい」と。 それを「恩師の炯眼」と懐かしみ、我の遺産と感佩する。父の母の祖父の祖母の曾祖父の在りし日の姿を描きながら、その遺伝子を受け継いだ事実を肯定する。すなわち、自分を育んだ素地を良しとする。こういう人はしぶとく力強い。浅田次郎ここに在り。未読の『一刀斎夢録』を読もう。御嶽神社にも行こう。2017/02/01
miyumiyu
84
単行本未収録のエッセイ。抱腹絶倒の「勇気凛々ルリの色」とは趣きが少し異なり、氏の小説家としての、職人のような一貫した姿勢に心打たれる。小説はもちろん好きだが、氏のエッセイは本当に良い。「小説家という職業を、私は聖職として矜りに思っている」。その思いが一貫している。2ページ足らずの短い文章の中にも、心に残る言葉がある。競馬はただの趣味ではない。「無意識のうちにおのれの志をおびやかさぬ自己管理術」。なるほど!浅田さんは本当に言葉の魔術師。小説家・浅田次郎を知るにはオススメのエッセイ。2017/07/09
はるほのパパ
37
ファンは必見。出来ればある程度の代表作品は読んでからのほうが楽しめるが、作品のエピソードや裏話、心構え等、本音で正直で面白い。やっぱり博打好きは本当だったね。 2015/02/03
ねこまんま
35
ご本人のルーツやら生活やら、いろんな思いを綴ったわりと真面目なエッセイ。一日一冊の読書を長年続けるなんて「好きだから」とおっしゃっているが、好きでもなかなかできることではないと思う。いろんなジャンルを網羅する天才作家だと思っていたけれど、やはり陰で努力を続けてこられたんだなあ。2017/08/06
kaida6213
25
浅田次郎のジャンルなんでもござれのエッセイ集。緩い話も好きですが、時代物もよいですね。新撰組ネタ。壬生義士伝は個人的にはそんなでもないけれども、彼の紡ぐ人物たちはいつも深く人間臭く動きますね。2015/01/22