出版社内容情報
日米戦争に反対しながらの真珠湾攻撃という決断。半藤さんが最も愛する提督の真骨頂を、半藤昭和史の名調子で語り下ろす。映画化。
内容説明
山本五十六の願いも空しく開戦へ。太平洋戦争におけるこの人の指揮ぶりは、求めて戦いにいくような“性急さ”と“激しさ”に終始する。それもすべて戦争を早期のうちに終らせたいために―。
目次
第1章 海軍次官としての奮闘努力(鈴木貫太郎を訪ねて;二・二六事件で明けた年 ほか)
第2章 開戦へと「急坂を転がる石」(ドイツ軍ポーランド侵攻開始;米内内閣の成立と崩壊 ほか)
第3章 「われ奇襲に成功せり」(即刻辞表を出せ!;ハル・ノートからの一瀉千里 ほか)
第4章 ミッドウェーの落日(戦争はその名を変えて;緒戦に大勝したあと ほか)
第5章 山本長官の最後の決断(隠されたミッドウェーの敗北;ガ島で飛行場をめぐる悪戦苦闘 ほか)
著者等紹介
半藤一利[ハンドウカズトシ]
昭和5年(1930)東京・向島生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋に入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、専務取締役などを経て、作家に。『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、『ノモンハンの夏』で山本七平賞、『昭和史1926‐1945』・『昭和史 戦後篇1945‐1989』で毎日出版文化賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
224
著者の山本五十六への親近感から始まった一冊。 言わずと知れた昭和史の専門家が同郷の山本五十六についてこの人は正しい道を歩んでたとする内容。 こういう抗い難い空気って今の日本でもコロナ騒動でつくづく感じるけど、あの時の日本でも非戦を唱えようものなら即座に叩かれるだろうなと思う。 まず情勢をまともに分析しない。とりあえずこれにさえ縋ればあとは万事何とかなる、正しいはずの考えに協力しない人は非国民。 そのままコロナ、マスク、ワクチンと嵌めると符合すること多いなと思う。2022/06/12
佳乃
31
山本五十六のエピソードを交えながら戦争時系列。連戦連勝だからと、次も同じような戦略で勝利できるわけはなく、慢心・傲慢この上ないほかの参謀をよそに五十六さんは冷静で、先を常に見越している。なんと歯がゆいことだったことでしょう。また、昭和天皇の聖断を「ここで下していただければ。。。」と思ったことだろう。それが長期に渡り最後の聖断が下るまでに特攻と相成ってしまった事実。争い事はひとつもいいことなんてないのに、力で押さえつけたところで何も解決しないのに。人は愚かだ。2017/08/24
柔
22
アメリカ研修で日本人として戦争を知っておかなければと手に取った。最後まで戦争を阻んだ海軍。その先頭に立っていた山本五十六。日中戦争で消耗している日本軍が米英軍に勝てるはずない。しかし始まれば負けると分かっていても「もうこうなった以上、最善を尽くして日本の為に奮闘する」男としてはカッコいい。日独伊同盟、真珠湾攻撃、ミッドウェー、ガ島から敗戦までの流れは改めて勉強になった。戦時の日本の思考は狂っている。歴史にたらればはないが戦争に勝ち、思想が引き継がれていたと考えるとゾッとかする。2019/04/14
鯖
17
山本五十六を通して描く太平洋戦争史。いつにもましてくだけてて、読みやすいなと思ったら、半藤さんがご自身の中学の先輩にあたる山本五十六について語った講演や著作をライター兼編集者の方が速記し、まとめあげたものだとのこと。日独伊三国軍事同盟を受けて「言語道断だ」と吐き捨て「もうこうなったら最善を尽くして奮闘する。そして長門の艦上で討ち死にするだろう」との言葉に、前線を視察中に搭乗機を撃墜され亡くなった山本と、戦後ビキニで原爆実験の標的艦として沈んだ長門さんが想起され、戦さで死ぬことさえ叶わなかった彼らが哀しい。2018/12/17
馨
17
映画になかったシーンもあり、詳しく書かれていて良かったと思います。 開戦を反対し続けた山本さんの苦悩が痛いほどわかります。 映画で言ってた「目と耳と心を大きく開いて世界を見なさい」という素敵な台詞が書籍の中には出てこなかったですが他の文献のどこかにでも書かれているのでしょうか。。2013/01/26