出版社内容情報
「一億総懺悔」を説いた宮さま宰相はいかなる人だったのか。問題児の前半生と皇室の切り札としての戦中の実力者ぶりを描く傑作評伝。
内容説明
鈴木貫太郎内閣を引き継いで、戦後初の首相となった東久迩宮稔彦王。日本の危機には「切り札」として、いつもこの名前が出た。日米開戦の直前には、東条英機も東久迩宮を首相にと望んだ。明治天皇の皇女を妃とし、陸軍軍人として重きをなす。その一方で、臣籍降下騒動、女性問題、右翼との危険な関係を抱える。その仰天の人生を初めて明らかにした傑作評伝。
目次
生母と「弟」
やんちゃな少年
東久迩宮家新立
フランス滞在七年間
不毛な闘い
臣籍降下騒ぎ
側近たちの運命
昭和の動乱の中で
怪しい交際と大陸出征
幻の総理大臣
戦時下の防衛総司令官
五十日間の内閣総理大臣
享年百二
著者等紹介
浅見雅男[アサミマサオ]
1947(昭和22)年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。皇族、華族を軸とする近・現代史の研究・執筆に従事する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rytryt
1
戦前の旧皇族である東久邇宮を中心に昭和史を描いた作品。 図書館で『不思議』というタイトルの特集があってて、たまたま目についたのですが、歴史散歩、昭和史散策として愉しめました。 2023/02/12
石橋
0
浅見さんの皇族系本はだいたい読みつくした。皇族という「人種」の悲しさとこの世感の薄さから来るちょっとした可笑しみが好き。でもこの稔彦王はあまり共感できず。なんか素敵じゃないんだ。こういう人を軍事や政治の中枢に置かざるを得なかった当時の日本の悲劇をみた。2012/04/08
chousun
0
「不思議」なのは、稔彦王を担ごうとした人々が常にいたこと。皇籍離脱後のあれこれも戦後史にからめてもっと描いて欲しかった。2012/02/21
にやり2世
0
系図を理解するのに頭を痛めた。渡仏時代の話にはイライラさせられっぱなし。臣籍降下の希望をなぜさっさと叶えてあげなかったのか。妻子はこの人がいなくても守られるだろうに。不思議なのは周囲の対応だった。2018/12/09
はちがみっつ
0
皇族だからのわがままほうだいなのか、元の性格がわがままきまま過ぎてなのか、強烈なキャラクター。皇女との結婚のために宮家設立となったが、ずっと本人の意志で華族降下したがっていたので、その希望をかなえてあげてた方が、周囲の人間(政界軍属問わず)が楽だったと思う。2018/07/05