ある小さなスズメの記録―人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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  • サイズ B6判/ページ数 157p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163733005
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

出版社内容情報

第二次大戦下ロンドン。傷ついた野生の小雀を拾った老婦人が、あふれんばかりの愛情で育て、共に暮らし、最期をみとるまでの実話。

内容説明

第二次世界大戦中のロンドン郊外で、足と翼に障碍を持つ一羽の小スズメが老婦人に拾われた。婦人の献身的な愛情に包まれて育った小スズメは、爆撃機の襲来に怯える人々の希望の灯火となっていく―。ヨーロッパやアメリカで空前の大ベストセラーとなった英国老婦人と小スズメの心の交流を描いたストーリーを、梨木香歩が完訳。

著者等紹介

キップス,クレア[キップス,クレア][Kipps,Clare]
1890年、シュロップシャー州ウイッチチャーチ生まれ。本名はルーシー・ヘレン・マグダレン・ガードルストン。ドーセット州ボーンマスで教育を受け、30歳を過ぎてからロンドンの王立音楽院でピアノを学ぶ。その後、プロのピアニストとして活躍。34歳のときに王立音楽院の指導教授だったオルガン奏者であり作曲家のウィリアム・ジョン・キップスと結婚、ロンドン郊外のブロムリーで暮らす。晩年、姪が暮らす西サセックス州ホーシャムに移り住み、1976年86歳で亡くなった

梨木香歩[ナシキカホ]
1959年生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ🍀

240
足元には雛。足と翼に欠陥を抱え瀕死の重体。巣から落とされた無数にいる自然の犠牲者であろう。本書は戦火のロンドン郊外、人と小鳥との間に培われた親密な友情の記録である。…私が帰ると出迎え、飛べないのによじ登って襟の中に入る。疲れたときはベッドに誘い、首元に寄り添って一緒に寝る。…空襲で家が壊れても、お気に入りのブランコに乗っていた。奇跡か本能か。…ピアノを弾くその手に乗り一緒に旋律を奏でる。老いて最期が近づくと、私を信じてずっとそばにいてくれた。別れの瞬間、幸せだったと彼は言った。そう、いつかまた会えるはず。2021/05/09

ヴェネツィア

222
右翼と左脚にハンディキャップを持つスズメとの12年間にわたる共同生活(そう呼んでもいいと思う)をつづった記録。観察は暖かい中にもきわめて冷静、客観的で誇張はないと思われるが、スズメ(このクラレンスの場合は特別かもしれないのだが)の個性や能力、感情の豊かさは驚くばかりだ。梨木香穂の訳文もいい。2012/04/01

しんごろ

185
舞台は第二次世界大戦中のロンドン郊外。足と翼に障碍を抱えたイエスズメ(クラレンス)。キップス夫人に拾われ、夫人とイエスズメのまるで家族のような生活。幸福いっぱい感じられ、なんとも温かく微笑ましい。晩年のクラレンスの生き抜こうとする姿、確かに誇り高い生き様を感じた。見事な12年の生涯だった。珠玉の一冊と言っても過言ではないでしょう。2022/04/22

小梅

140
作者のスズメを見つめる愛情深い眼差しが感じられる作品です。12年…脚などに異常がなく生まれて、他のスズメと共に生きていたら、この半分の年月を生きる事も難しいのかもしれません。自然には天敵や危険が沢山ありますからね。 11年目に病気をして生死を彷徨った頃からの彼の賢さと努力には強く感動を感じました。 しかし、シャンパンで元気になるなんてビックリだ。2014/07/11

hirune

135
障害があるため親に見捨てられ、人間に育てられた小さなスズメの物語。飼育下で芸をしたり複雑な歌を歌ったり、高い能力を発揮し、とても長生きしたクラレンスですが、野生の動物は過酷な環境を身一つで生き抜くのに色々な能力や知恵や体力が必要なのでしょうね。瀕死の病気を乗り越えて、老いたクラレンスが多分夫人に思い出を残すために、自分の写真を協力的に撮らせるエピソードには、彼の深い愛情に涙が出ました。2014/10/02

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