出版社内容情報
「有事の核持込みを容認する」。沖縄返還実現のためには、この方法しかなかった! 佐藤首相の密使として交渉にあたった著者の告白
内容説明
日米最大の「密約」沖縄への核持ち込みを容認した佐藤・ニクソン極秘合意議事録とは?佐藤首相の「密使」として交渉にあたった著者が明かす密約成立までの全ドキュメント。
目次
“孤独なる闘い”の始まり
「沖縄が還るまで戦後は終らない」
隠密のホワイトハウス訪問
一九六七年日米首脳会談
幕間の一九六八年
ニクソン政権への移行期
総理の“核抜き”裁断
佐藤総理・岸元首相とニクソン大統領
“政治的ホットライン”の開設
“西部ホワイトハウス”サンクレメンテへの旅
沖縄の核、そして繊維
ニクソン大統領の“最後通牒”
佐藤首相の対案を携えて
ホワイトハウスでの極秘折衝
キッシンジャー補佐官と合作した脚本
核抜き、本土並み、七二年返還
絡みつく繊維
「後世史家の批評にまつのみ」
歴史の闇の奥深く
著者等紹介
若泉敬[ワカイズミケイ]
昭和5年福井県生まれ。福井師範学校から東京大学法学部にすすむ。ロンドン大学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学客員所員などを経て、京都産業大学教授に就任。佐藤栄作首相の特使として、沖縄返還交渉にあたる。平成8年7月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
59
一つの外交交渉にかける人たちの努力がよくわかった。2013/05/30
しんこい
15
外交交渉の困難さは佐藤優氏の本をかじった程度でしか認識できていませんが、沖縄返還のような話で、総理と大統領の橋渡しを務めるような役割の困難さと意義は、この位長く思い本でないと書き表せなかったのでしょう。日米繊維交渉の顛末もこのような感じで読みたくなりますが、こっちは日本政府側はずいぶん軽く考えていたみたいですね。2016/07/18
Francis
11
沖縄返還交渉に当時の佐藤栄作総理の密使「ヨシダ」として米国のキッシンジャー氏らと秘密交渉に当たった著者の証言。ベトナム戦争などの東西冷戦や盛り上がる沖縄復帰運動の重圧下で行われた秘密交渉の内容はあまりにも重い。著者と佐藤総理の下した決断が果たして本当に正しかったのかは簡単には判断できそうもない。著者若泉敬さんはこの本を上梓して2年後に自ら命を絶たれた。この本が一人でも多くの人に読まれ、沖縄問題を自分たちの問題として真剣に考えてくれることが若泉さんの最大の望みだったはず。そのことは若泉さんの鎮魂にも繋がる。2015/04/28
月をみるもの
8
アポロ12号が嵐の大洋に着陸したその日、ホワイトハウスではニクソンと佐藤が沖縄返還についての密約を交わしていた。本書に引用されている、ある在米ジャーナリストの述懐:「わたしのようにアメリカに長いあいだいるものにとって、沖縄が本当に日本に返されることは二、三年前まで夢にも思わなかった。ちょうど月に人が歩いて、その石を地球に持って帰ることなどおよびもつかなかったのと同じように」2016/06/12
鉄路のほとり
7
我々は、沖縄はずっと前からそこにあったと思っている。しかし、沖縄が日本に返還されたのはわずか40数年前のことにすぎない。そしてそれは、所与のものとして返還されたものではない。誰かが交渉した結果として、沖縄は日本に還ってきた。返還交渉は、60年代の後半に行われた。沖縄は、Bー52の基地として、米国の重要な戦略拠点だった。65年前後の時点においては、米国が現実に沖縄を返還すると信じている人はほとんどいなかったのである。そんな一見不可能とも見える交渉を、成し遂げた人々がいた。2014/12/29