康子十九歳 戦禍の日記

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  • サイズ B6判/ページ数 299p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163715902
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

原爆投下で即死した広島市長の父を追うように亡くなった康子。彼女の遺した日記と書簡等を基に再現される日本版『アンネの日記』

内容説明

粟屋康子、十九歳。昭和二十年八月六日、原爆によって死んだ粟屋仙吉・広島市長の次女である。尊敬する父、そして弟などの死を知らされた康子は、原爆を受けてなお生き残った母親の看病のために、東京から焦土と化した広島に向かう。そのために原爆症によって、康子は若い命を奪われるのである。自らの生命を捧げて家族への愛を貫いた康子は、その思いを綴った克明な日記と、兄弟や友人、知人に書き送った多くの手紙を残していた。それは、現代の日本人が忘れがちな、思いやりや信念、そして毅然とした物の見方が、行間から溢れ出たものだった…。

目次

火具旋造工場
引き裂かれた家族
運命の年は明けた
思われる苦しみ
追いつめられる日本
暗闇の中の送別会
別離と東京大空襲
硫黄島陥落
惜別の歌
別れゆく勤労学徒たち
広島からの悲報
決死の看病
乙女の病床

著者等紹介

門田隆将[カドタリュウショウ]
1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、出版社に勤務。雑誌メディアを中心に、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなどの幅広いジャンルで活躍する。2008年3月、出版社を退職し、ジャーナリストとして独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ち~

34
二次被曝により、19歳で亡くなった粟屋康子さんの日記。学業では優秀な成績を残し、運動も家事にも優れた才能溢れる康子さん。広島市長である父と母に代わり、東京で弟妹を気遣い、軍需工場での生活や、周りの人達から慕われる様子などが、彼女の日記や、友人・知人による証言により記されている。底知れぬ優しさや、時には特攻隊に対する鋭い考えなど、とても当時の19歳の女性と思えぬ面もあれば、時代に沿った淡い恋心などが記されている。被曝により重症となった母の看病で広島に行き二次被曝を負うが最後の最後まで立派な女性だった。2020/08/10

NOBU

15
戦時下の女学生粟田康子さんの記録。それは彼女の残した自叙伝、日記、書簡と家族や友人の言葉で綴られる。召集されたなら特攻隊を志願するという大学生に「特攻に行く人は、誇りです。しかし、それを強いるのは国の恥です。」と断言した19歳の乙女の聡明さに胸を打たれる。 そして、被爆した母を看病することにより二次被爆し二十歳を迎える事なく逝ってしまう彼女の高潔さに涙が止まらなかった。当事の若者の迷いや不安、そしてほんの少しだが青春の煌めきが手に取る様に伝わる、価値ある本である。 2011/07/24

Tomochum

3
区隊長への想い。梁さんの想い。家族への、友人への想い。到底想像もつかない極限状態でのそれぞれの想いと行動。著者の文章は余り好きではないのですが、戦後生まれがインタビュー繰り返しながらこれだけの重さを受け止め纏め上げられた事にもぐっときました。康子さんは祖父と同い年、お母様は曾祖母と同い年。あの世代は皆、こんな日常を経てそして戦後の日本を支えてきて下さったのかと思うと、己が申し訳なくなります。ありがとうございます。19歳の自分と言わず今の自分もはりとばしたい。2011/11/23

廊下とんび

1
戦時下の《二十歳の原点》みたいに思えた2011/09/29

よしひろ

1
梁さんの康子さんに対する叶わぬ恋。それはそのまま現在の日本と台湾との関係を表している…日本政府がこんなにも台湾に対して冷酷な対応をしているなんて。台湾の方々には本当に申し訳ありません。  そして、戦時中にもかかわらず(だからこそ?)希望を忘れずに文字通り「必死」に生き抜いてきた当時の若者たち。筆者は「今の日本に欠けているのは、大いなる未来に希望を描くことではないか」と言っていますが、全くその通りだと思います。 沢山の気づきを与えてくれる本でした。2012/06/12

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