内容説明
スタジアムの底にひそむコーチと選手たちの狂気、彼らを生み出す風土の静かなる熱気―研ぎ澄まされた観察眼による、十五年の成果、十七篇。
目次
第1部 異人たちの肖像(釜本邦茂―「考えるライオン」;吉田義人―「脚光と不遇の果てに」;前田智徳―「もののふの恥じらい」;宿沢広朗―「非凡な覇気、火のごとき覚悟」 ほか)
第2部 異人たちのいる風景(マンチェスター/イングランド―ベスト→カントナ→ベッカム「ユナイテッドの背番号7をめぐる冒険」;岩手県釜石―「前衛思想としての新日鐡釜石」;ダブリン/アイルランド―「裏切りの予感に包まれて」;沖縄―「知られざる名将、沖縄に在り」 ほか)
著者等紹介
藤島大[フジシマダイ]
スポーツライター。1961年1月25日、東京生まれ。都立秋川高校、早稲田大学でラグビー部に所属。卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社へ中途入社。高校野球、ラグビー、ボクシングなどを担当する。92年に独立、各紙誌に執筆。東京新聞・中日新聞火曜夕刊、「ラグビーマガジン」、「サッカーマガジン」、「ボクシング・ワールド」などにコラム連載。CS放送J SPORTSのラグビー解説者。2002年に『知と熱』でミズノスポーツライター賞受賞、「Number」が選ぶスポーツノンフィクション第1位。都立国立高校、早稲田大学ラグビー部のコーチを計12年間務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たいぱぱ
51
Numberに掲載された詩的でもあり、エッセイ風でもある藤島さんのノンフィクション集。各話に藤島大節が効いてます。広島の天才打者・前田智徳。もうひとつの『グランブルー』エンツォ・マイオルカ。そして誰もが「誰?」と思う友川カズキの話が印象的でした。短い文章にその人たちの人生の美学や信念を観た気がします。伊良部秀樹の文章には星野さんを思い出した。2003年日本シリーズ第6戦。星野監督は伊良部に投げさせた。彼じゃなかったら阪神が日本一だっただろう。勝負より大事なものがある。それが星野仙一という男でした。2019/12/16
keith
23
スポーツライター藤島さんのスポーツノンフィクション。ラグビーだけでなく、バレーボールやバスケットなど様々な指導者に迫ってます。藤島さん独特の語り口がすごくいいです。今の時代では到底受け入れられないような指導もありますが、それを乗り越えたからこそ見える世界も確かにあるようです。それがいいか悪いかは別ですけどね。2019/01/26
ceskepivo
7
藤島さんの文章は胸に響く。視線が優しい。また、指摘が鋭い。ラグビー日本代表の宿沢元監督の章。「指導者が、ある決断に基づいて、迷わずチームをつくると、練習段階からチームがよく練られて、いつしか想定と異なる展開にも力を発揮できるように成長してしまう。リーダーに「ここを捨てて、ここで勝負」の覚悟が無いと、表明的には臨機応変の構えがあるようでいて、その実、修羅場では無力化する。ラグビーに限らず、どこかで見た光景のような気もする。」2015/08/30
nagata
4
とにかく、とりあげている男たちが皆カッコいい。そこにもってきて骨太の文でビシビシって書かれると…、この暑さなのに熱くなってるし。2024/08/15
Tatepoko
3
リオオリンピックが終わり、ふと思い出して再読。藤島さんの文体は昔から好きです。競技に関わるものの純粋な狂気がここにはあります。結果に至る過程の部分に必然は必ずある!どの話も、大変魅力的です。オススメです。