内容説明
極楽へ行きたいと思う愚かしさ。それでも作家は歩き、祈りつづける。
目次
阿波の雪
土佐の風
伊予の桜
讃岐の霞
附録 お四国巡礼の記
著者等紹介
車谷長吉[クルマタニチョウキツ]
昭和20年、兵庫県飾磨市(現・姫路市)生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、広告代理店、料理屋などで働きながら小説家を目指す。平成5年に『鹽壷の匙』で三島由紀夫賞と藝術選奨文部大臣新人賞、平成9年に『漂流物』で平林たい子文学賞、平成10年に『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞を受賞。平成13年には「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
42
作者と奥様の四国八十八ヶ所、歩き遍路の道中記です。ユーモラスなタッチで書かれていますが、ご自身はご病気のため排泄のコントロールが効かない状況だし、奥様は道中に怪我をなさって遍路旅の筈が病院巡りの旅に。このように、たいへんなご苦労をされながら結願されました。達成感がとても伝わってきました。四国四県で出会った人の悪口や、どの県がゴミだらけだとか、お寺の職員の態度が尊大だとか、金儲けしか眼中にない寺だとか、そういった赤裸々なことも書かれてました。面白かったです。2021/04/01
nonpono
30
船旅で世界一周しそして四国巡礼である。車谷長吉らしい、どこか達観とした日記。「人間ほど不幸な生物はない。生きている間にあらかじめ、将来自分が死ぬことを知っているのだ。」が、こだまする。わたしたちは生まれたときから死への行進をしているんだと改めて意識した。だったらよりいっそう、濃厚な時間を過ごしたいと。そんな硬筆な文章が続くなか、「このお遍路に来てはじめて、ようべ順子さんのお乳とお尻をなでなでした。」の文章からの唐突さ、滑稽さと匂い立つようなエロティシズムは、いったい。不思議。それが車谷長吉の世界なのか。2024/07/21
ともたか
11
車谷長吉さんが四国を歩いていたなんて思いながら読んだ。平成20年2月から4月、寒い時期に。私が初めて見た四国とどうちがうのかも知りたかった。それこそ私が四国に行ったのは昭和45年であるから様変わりと言っていいくらいかもしれない。2016/06/18
ぬらりひょん
11
お遍路もいいなぁ、究極のスタンプラリーみたいだし、と思っていたところに見つけた本。お初の作家さん。朝日新聞の土曜版人生相談の回答者に時々出てくる人で、ちょっと変わった人だなと思っていたけど(以下想像におまかせします)。徳島と香川のごみの多さが何度も出てきますが、ご自身のあちこちでの落し物(!!)は、いいんですかい?と聞きたい。地獄か極楽か?だれも行ったことないしなぁ。2014/03/02
荒川ながれ
4
2008/9/15 初版 文藝春秋 図書館で借りる 2008/2/15(平成20年)から約2か月かけてのお遍路を描いたもの。病気(排泄)のため、しばしば「うんこ」がでてくる。著者が批判したのは徳島のゴミ、市長、県知事、代議士に及ぶ。旅の途中、あの人は美人、あの人は極楽には行けぬ、自分は地獄などの感想が俗で楽しい。長吉という名は李長吉「長安に男児あり、二十、心すでに朽つ」からとったことがわかった。 旅の途中に「わたしはいつ死ぬのだろう」との一節が残った。自分もいつか歩きたいがために読んでみた。2021/11/29
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