内容説明
サラリーマン時代の思い出、藤沢文学の主人公についての論評から創作の秘密まで―。没後十一年を経て甦る貴重な肉声。
目次
猩紅熱以来
一頭走れば群も 物の有限性に謙虚な怖れを
藤田まことに及ばぬが…
オール・イン・サイクル
早春賦なら…
洋画で眠気を
24年目の記録
ひとりで煙草を
髪とひげの違い
ある伝記のこと〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
83
既読のエッセイーも多く、新鮮さはあまり感じなかった。そんな中で、面白かったのは、「破調の織部 古田織部の生涯」、語られることが少ない人物の一面を知ることが出来て面白かった、ただの茶人ではなかったようだ。「孤高の志士 清河八郎」は「回天の門」という力作があるが、作品に関わる余話が書かれていて新しい発見もあり読めた。藤沢周平の人柄が分かるエッセイが多かったが、彼の歴史に対する知識欲にも驚かされた。何かを書くためには、多くの資料を収集分析し、そこに自分の考えや見解を織り込む、難しい作業の連続、大変な仕事だ。2025/02/26
剛腕伝説
19
没後11年を経て出された未刊行エッセイ他。新人賞の連絡を受けた夜の事、直木賞受賞の夜の事、故郷の事、影響を受けた知人の事、喫煙の事、好きな女優の事、等々多岐に渡る分野のエッセイ。その淡々とした語り口調で作者の人柄が忍ばれる。故郷の志士「清河八郎」の事に多くのページを割いており、並々ならぬ敬慕の念が伺える。 下宿先の女子高生とどうしても口を聞きたくて、やっと二人きりになれた時、意を決して出た言葉が「いい天気だなっす」!青春は不器用なものである(*^^*)2021/06/25
ジュール
5
藤沢さんの未刊行のエッセイ集。 初期のものからかなりローカルのものまでよく集めたもの。 他のエッセイにも共通するのは出身地の庄内地方への愛。 戦前の庄内地方は貧しく文化的にも遅れているというイメージだったが、美味しそうな特産品、地方人の高い文化、教養に驚く。 東京では散歩の途中の孤独な老人と思っていた人が実は高明な学者と知り、謝りに行く。 これも何かの縁。2024/12/22
takao
3
ふむ2024/02/15
メルセ・ひすい
0
10. 青37 ★5 文章力抜群! エッセイの手本 作家にとって、人間は善と悪、高貴と下劣、美と醜をあわせもつ小箱である。サラリーマン時代の思い出、藤沢文学の主人公についての論評から創作の秘密まで-。没後11年を経て甦る貴重な肉声。2008/10/06