内容説明
煙草にはマッチで火をつけたい。午後の早い時間のビアホール。ドリトル先生のほがらかさについて。…ネクタイを緩めて語る、猫と本と散歩への愛に満ちたエッセイ80余篇。
目次
1 こんな小さな物たちがいとおしい(ネクタイ;万年筆;クリップ ほか)
2 街を歩いたり猫と遊んだり(街と歩行;パリと図書館;遠ざかってゆく足音 ほか)
3 散歩のあいまにこんなことを考えていた(朝の光、夕暮れの道;マッケンロー復活;小動物のユートピア ほか)
著者等紹介
松浦寿輝[マツウラヒサキ]
1954年東京生まれ。東京大学教授(表象文化論・仏文学)、詩人、小説家。1988年、詩集『冬の本』で高見順賞受賞。1995年、評論『エッフェル塔試論』で吉田秀和賞、1996年『折口信夫論』で三島由紀夫賞、2000年『知の庭園―一九世紀パリの空間装置』で芸術選奨文部大臣賞受賞。同年、「花腐し」で芥川賞受賞。2005年、『半島』で読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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minota
4
海外文学を続けて読んでいると、翻訳ではない日本語の優しさをもった文章が読みたくなるので1年くらいかけてゆっくり堪能しながら読み進めていた。 ある作家に夢中になってのめり込むのもいいけど、こうして思考をリセットしながら読書を続けていくのも楽しい。 2017/04/08
kobaken
4
怪我で寝込んだ著者のために、狩りの苦手なミケが穫った生涯でただ一匹の鼠…「いい子だ、いい子だ、ミケちゃんは」。猫エッセイには弱いのです(あ、猫の話は一部で、あとは文学やら映画やら芥川賞やら)。 松浦弥太郎さんと勘違いして^^;手にしましたが、中当り。芥川賞作家さんだったのね。表紙が素敵です。2012/12/02
アレカヤシ
2
著者の小説の理由がなんとなくわかったような気がしておもしろかった。猫についてのところは特に沁みた。(遠ざかってゆく足音の淋しさ、そしてその淋しさゆえの懐かしさ、いとおしさ)P110 (他者との出会いでわたしたちを感動させるのは、予期しがたいある瞬間、あらゆる因果関係の外で、肉体との間に不意に流れる電流のようなものだけだと思うのです)P211 (何かを好きだというのは結局そういうことではないだろうか。現実としてはそれが不在であるような場所で、それをいかになまなましく思い浮かべられるか、という)P192 2019/02/13
ふノ字
1
再読。猫の下りは自分の飼っていた猫を思い出さずにはいられない。2017/07/21
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
1
【ココロの琴線に触れたコトバ】足音とは要するに踵と大地との接触のことであり、つまりは人間と世界との関係の、もっとも原初的な形態そのものだとも言える。足音のうちに、いわばその人間のいちばん本源的な在り様が鳴り響いているのだ。2016/01/09
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