出版社内容情報
アジアの路上で出会う子供のもの乞いや障害者の背後にある現実を描く。アジアの暗部を描きながら、清々しい読後感を与える稀有の書。
内容説明
娼婦、マフィア、物乞う人。アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。
目次
第1章 カンボジア 生き方―買春と殺人
第2章 ラオス 村―不発弾と少数民族
第3章 タイ 都会―自立と束縛
第4章 ベトナム 見守る人々―産婆と家族
第5章 ミャンマー キリスト―信者
第6章 スリランカ 仏陀―業と悪霊
第7章 ネパール ヒマラヤ―麻薬と呪術師
第8章 インド 犠牲者―悪の町と城
著者等紹介
石井光太[イシイコウタ]
1977年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。国内外の民俗、文化、宗教などをテーマにしたルポを雑誌や本に寄稿。その他、感染症を主とした医療についての執筆、啓蒙活動も行っている。現在は感染症専門の検査会社の顧問を務めるかたわら、余暇を見つけては海外に出かける日々(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
115
東南アジアの各地に生きる 物を乞う人々との日々を 綴った放浪の記録である。 著者が出会う 海外の真実が重い。 きらびやかな繁栄の影で、取り残された者たちの生き様を丹念に描いたドキュメントだった。2022/09/16
みゃーこ
79
第8章インドの章はあまりにも多くの問題が複雑にからみ悲劇を生みだすシステムを前にして呆然とし目を背けるしかないという筆者同様、読んでいて無力感と生き場のない憤りを激しく感じる。発展と繁栄の片隅に必ず存在する取り残された者たち。障害者、物乞い、女性の姿を目を背けることなく正面からぶつかっている石井氏のルポは感動と衝撃を受ける。2013/08/11
nonpono
15
同世代の筆者が、芸人のアジア横断の旅に影響されて旅したアジア。わたしも「深夜特急」に影響されて旅したアジア。どこかの安宿ですれ違っていたのかもしれないと考えるとまた面白い。わたしは世界遺産がテーマになっていたが筆者の眼差しは傷痍軍人や知的障害者や身体障害者や物乞いに。また違うカンボジアやネパールの貌がそこに。わたしのまなこにもインドで出会ったエネルギッシュな物乞い達がよみがえる。赤ん坊を抱く老婆。やはりレンタルなんですね。淡々としているが芯がある筆致に引き込まれた。ある時代の確かなアジアのルポタージュ。2023/09/06
ntahima
15
障害者と物乞う人々を訪ねてアジアを流離った記録。どの国にも触れられたくない矛盾があり、程度の差こそあれ日本にも闇はある。豊かな国の民である著者が何を求めて旅をしたのか最後までわからなかった。ただ、よくある「裏アジアもの」とは一線を画する真摯な取材態度であることは否めない。これがインドだとは言えないがこれもインドと言わざるを得ない地獄巡りの中、話は聖夜を迎える。答えのないまま著者の旅はこの後も続く。2010/03/23
amdd
13
私は時々、戒めの為にも著者の本を読みます。石井さんは絶対貧困に陥った国々の現状を、残酷なまでに淡々と書き伝えます。時には自分のほろ苦い恋愛体験をまじえ、自分の狡さや情けなさまで露呈して。石井さんは、だから自分の恵まれた環境に感謝しろだとか、説教めいたことは言いません。ただ、知ってほしいのだと思う。もし少しでも興味を持った人がいたら、是非彼の本を読んでほしい。私も切に願う。2010/11/30
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