内容説明
アメリカに、13年、あるいは17年に一度だけ何億匹も大量発生し、数週間だけ凄い声で鳴き交わして死んでゆく、へんてこなセミがいます。どうしてそんなに長い間地中にいるの?13年と17年なのはなぜ?日本人の科学者が初めて解いた、奇妙な「素数ゼミ」の秘密。
目次
1章 アメリカの奇妙なセミ(不思議な生き物、セミ;50億匹のセミ!?)
2章 小さなセミの秘密(アメリカ中がセミだらけ?;謎を解くカギは「気温」?;とてつもない時代「氷河時代」)
3章 セミの歴史を追って(祖先ゼミの受難;不幸中の幸い「レフュージア」;奇妙な性質のはじまり)
4章 素数ゼミの登場(13と17の秘密;「素数ゼミ」の登場;魔法の数字の不思議)
5章 そして、現代へ(長い旅の末に;終わりに―「進化」ってなんだろう)
著者等紹介
吉村仁[ヨシムラジン]
1954年生まれ。ブリティッシュ・コロンビア大学研究員、インペリアル・カレッジ個体群生物学センター研究員、千葉大学客員教授などを経て、静岡大学工学部教授およびニューヨーク州立大学併任教授。数理生態学が専攻で、進化理論を研究している。セミのほかにも、さまざまな動物の行動を進化的な数理モデルで解析し、多くの研究論文を発表している
石森愛彦[イシモリヨシヒコ]
1958年生まれ。イラストレーター。桑沢デザイン研究所グラフィックデザイン研究科卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
385
最初は蝉の生態の話かなと思ったら、生存に素数の間隔が出てきた辺りから数学の勉強になったのが意外だった。挿し絵があって対象年齢低くても読めそうでよかった。2016/10/27
鉄之助
337
中高生向きの本だったが、大人の好奇心も十二分に満足させてくれる良書。第一に分かりやすい! アメリカ東・南部に13年ないし、17年ごとに大発生する蝉が「素数ゼミ」だ。狭い範囲で50億匹も出現するのだがその鳴声は、「6畳間で400匹が鳴くような」うるささだという。成長するのになぜこんなに時間がかかる? なぜ17年? なぜ狭い範囲? 数々の疑問を解き明かしながら、数学の「素数」の不思議にも見事に答えを出している。自然の摂理の美しさ、を感じる1冊だった。2021/07/11
absinthe
200
13年や17年のに一度思い出したように大発生する、体の小さい蝉がアメリカだけに生息している。一度に発生する理由と、素数という変わった周期の謎を明かす。読むとなるほどと納得する。好んでとりつく木の樹液に養分が少ないので体が大きくなるには時間がかかるらしいのだが、期間が素数になるという謎の答えは面白かった。大自然の神秘。あの小さなセミ達が、ここまで健気に今の時代まで頑張ってきたのかと思うと感動する。2021/10/31
小梅
137
そうか、長すぎても地中で幼虫のまま死んでしまうのか…素数ゼミの存在は知ってましたが、大変面白く読みました。 イラストも装丁も良いですね。 しかし、素数ゼミは美味しいのかぁ〜知らなかった(@ ̄ρ ̄@)2017/08/06
kinkin
99
アメリカで13年あるいは17年周期で大発生する「素数ゼミ」を解説した本。著者はこのセミに着目したのは「地球の壮大な歴史の不思議」や「数字の不思議」がわかってくると考えたことを理由としている。素数ゼミについて、セミと気温や氷河時代との関係、セミの歴史について解説されている。後半はすこし難しかったがそれでもわかりやすく書かれていると感じた。地球規模の長い歴史から見れば人間もひょっこりと現れた生き物でいずれは絶滅したりあるいは再び現れるのかもしれない。まだまだ不思議だらけの地球。図書館本2019/03/20