内容説明
あらためて文庫本が巨大な知の宝庫であり、渉猟する楽しみに溢れた密林であることを痛感する、一九四冊。
目次
2000(青山光二『金銭と掟』双葉文庫;坂本信一『ゴミにまみれて』ちくま文庫 ほか)
2001(正岡子規『病牀六尺』岩波文庫;川本三郎『クレジットタイトルは最後まで』中公文庫 ほか)
2002(W・テレンス・ゴードン/宮沢淳一訳『マクルーハン』ちくま学芸文庫;立花隆+東京大学教養学部立花隆ゼミ『二十歳のころ』1・2新潮文庫 ほか)
2003(リチャード・クック/前野律訳/行方均監修『ブルーノート・レコード』朝日文庫;松竹編『小津安二郎新発見』講談社+α文庫 ほか)
2004(都筑道夫『女を逃すな』光文社文庫;仲田定之助『明治商売往来』ちくま学芸文庫 ほか)
著者等紹介
坪内祐三[ツボウチユウゾウ]
1958年、東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。「東京人」の編集者をへて、書評、コラム、評論など執筆活動を始める。『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り』(マガジンハウス)で第十七回講談社エッセイ賞を受賞
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感想・レビュー
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おおにし
18
坪内さんと私が同い年だったことを彼が亡くなってから知った。坪内さんが生涯で何冊本を読んだのかは知らないがここに登場する194冊の文庫本のほとんどが手に取ったこともないものばかりだった。しかも読んでみたくなるものばかりなのだが、10年以上前の出版で現在入手しにくいものが多いのが残念。私が唯一坪内さんと同時期に読んだ本が1冊あった。庄司薫『ぼくの大好きな青髭』。私も単行本を待ち望んでわくわくしながら読んだことを思い出した。2020/04/04
踊る猫
13
安定したクオリティの高さは流石。優れた文庫本としてどうしても岩波文庫やちくま文庫あたりを推して無難に進めるというテもありそうだが(そして、そうしているかな……という回も見受けられないところもないではないが)、果敢にマイナーな書籍や鮮度の良いノンフィクション、渋い文芸書を推しており宇野浩二など読みたい作家が増えてしまった。明治文学とアメリカ文学に造詣が深い著者ならではのセレクトが光る。裏返せばその専門分野から外れるところは改行や引用で誤魔化していないかな? とも思われるが、そこはまあご愛嬌といったところかな2018/06/19
せり
8
坪内祐三氏のいくつかの著作については文庫本などで読んでいた。正直作品や作者になじみはなかったし、なじみはあっても興味はないものも多い。だけどそこには作品や作者に対する遠慮がちな愛情みたいなものが感じられて―それはけっして押しつけてくる愛情ではなくて、本当は隠したいんだけどにじみ出てしまうような控えめなそれで―そんな坪内氏の書評や坪内氏自身に少なからず愛着を持っていた。2024/11/17
はいから博士
1
博覧強記の坪内さんしか書けないまさに名コラム。1作品を2ページ強でまとめる力量にため息がでる。また俎上にのぼる作品もターザン山本からサッカリーまで幅広い。個人的には色川武大や小林信彦に対する作者の敬愛ぶりが好ましく思えた。2010/11/20
shushu
0
一部明らかに読んだ記憶があるのに、この本を買ったり読んだりした覚えはない、ついにボケた(驚)と思ったら、以前出た「シブい本」「文庫本を狙え!」をまとめ直したものと後書きに書かれていてホッとした。いやー、ビビったよ。2014/07/25
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