内容説明
難攻不落のシンガポールを攻略し、ヨーロッパのアジア支配を破った「マレーの虎」が辿った悲しみに満ちた末路にこそ、昭和の本質がある。「栄光」と「無念」を背負った最後の英雄。
目次
1 英雄(大杉のもとに宿った二つの運命;徹底した合理主義が生んだ「特攻の思想」;貧困を眺めながら育った少年期)
2 組織(何故、皇道派に加担したのか;山下・パーシバル会談の真相;保田與重郎の山下観)
3 粛清(疑わしきは罰す;「死んだ兵隊のために動いてはナラン」;「恐怖」によって辛うじて保たれていた中立;井伏鱒二の筆による「マレーの虎」の横顔)
4 敗北(セクショナリズムの病弊;大西瀧治郎の二〇〇〇万人特攻論;退却と飢餓;屈辱に満ちた降伏調印式;終焉の地ロス・バニョス)
著者等紹介
福田和也[フクダカズヤ]
1960年、東京生まれ。慶応義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。現在、慶応義塾大学教授。文芸評論家として文壇、論壇で活躍中。93年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、96年『甘美な人生』で平林たい子文学賞、2002年には、『地ひらく石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞を受賞した
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