内容説明
静かに強く響く生と死の哀しみ。記憶に生きる人を追想する『檀』『無名』ほかを収録。
目次
檀
鬼火(リスボン、雨;ポルト、霧;ナザレ、月;サンタクルス、陽;リスボン、ふたたび雨)
天才との出会いと別れ
無名(天の配剤;生きすぎて;差し引けば;酒徒;竜舌蘭;吹き抜ける;白い布;その肩の;隅田川)
夜の野菜畑―ナイン・メモリーズ6
著者等紹介
沢木耕太郎[サワキコウタロウ]
1947(昭和22)年に東京で生まれる。70年に横浜国立大学経済学部を卒業。入社した会社を一日で退社したあと、若い自衛官たちの実像を鮮やかに描いた処女作「防人のブルース」でいきなりフリーランスのライターとしてデビューし、注目をあびる。以後、ジャンルとして確立していなかったノンフィクションの世界で、テーマやスタイルにおいて絶えず先駆的な実験と冒険を試みつつノンフィクションの新たな可能性を拡げる数々の傑作を世に送りだし、多くの読者を魅了しつづけている。79年に『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、82年に『一瞬の夏』で新田次郎文学賞、85年に『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞、93年に『深夜特急第三便』でJTB紀行文学大賞、2003年に菊池寛賞などを受賞した
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感想・レビュー
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団塊シニア
51
父と過ごした最期の日々を記録した「無名」が秀逸な作品です、無名だった父親のたった一冊の句集に注いだ情熱、そして作者の父に対する礼儀正しさには距離感と深い思いが感じられる内容です。2015/04/02
ポン
8
『檀』、『無名』と過去にも読んでおりますが、年を重ねてから読むと全く感じ方、印象が違います。より作品の良さを感じることができました。沢木さんの書籍はご本人も意識されていますが、いつまでも読める作品です。次はオリンピアを読み直そうと思います。2021/06/11
けん
7
★3.5 父親の看取りの短編がよかった2020/07/04
Yukinco
2
壇、良かったです。檀一雄の奥様ヨソ子さんのインタビューを基に綴られた、奥様目線でのお話。檀一雄の不倫騒動によって深く傷つく奥様がそれでも結局檀一雄が好きだったという奥様の告白。壇から奥様への手紙を読んで、さすが作家だなぁと感服してしまいました。壇が奥様に、「炊事洗濯は人を雇ってやらせればいい。時間を作って壇や自分の時間を作りなさい。」と言われても、家事育児にやり甲斐を見出している奥様。それなのに結局は母と言うよりは壇の妻であった、という奥様の発言がどうしても分からない。矛盾してるよなぁ。2023/03/05
Kuliyama
1
自分の親のことをことをここまで書けるとは、と感心しました。2017/04/28