出版社内容情報
病弱の身体をおして幕政改革にうちこんだ新井白石をえがく「市塵」に加え単行本未収録の珠玉篇多数をおさめる。本巻をもって完結!
内容説明
病弱の身体をおし幕政改革にうちこんだ新井白石をえがく表題名品と、単行本未収録の珠玉篇多数をおさめる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モトラッド
36
★★★☆『市塵』徳川幕府第6代将軍の家宣に重用された儒者=新井白石の行状を描いた伝記小説。切った張ったの派手な場面や秘剣など、何一つ無いにも関わらず、この先どうなるのかと、読者の興味を掻き立てるチカラを備えていて、頁を繰る手が止まらない。興味深く読める力作。/ 他に『江戸おんな絵姿十二景』、『広重「名所江戸百景」より』、エッセイ『わが思い出の山形』を収録。『江戸おんな~』は、極短い短篇ながら、藤沢先生のエッセンスが凝縮されており、お気に入りの作品。2021/10/03
星落秋風五丈原
23
堅物で、融通のきかない学者という先入観が強かったが、氏は冒頭から、そのイメージを突き崩す。まだ綱吉が将軍だった時代、悪法・生類憐れみの令を揶揄した狂歌詠みが捕われたのを目にした白石は、下男に男がどうなったか確かめさせる。この好奇心は、やがて出会う事になるオランダ人ヨハン・シドッチとの出会いの場面でも発揮される。彼は、決して本に書かれた事にしか興味がない、象牙の塔の住人ではなかった。世間の動きを見据えながら、実践的な学問を目指していたと言える。彼は綱吉時代の遺産ともいえる荻原重秀と、通貨改革で激しく対立2004/12/06
山内正
4
寺を出たのは七つ門を潜って 寺に来る女が 向島のこんな寺に顔見知りに会うとは ここだったわねおりせさんとこは 私は法事のお礼にね もう四年になるわと 女に金を渡して切れた筈だったのに続いてて騒動になって また遊びに来てよと立去った 卒中で倒れまだ死なないと思ってたのに 清兵衛は妾とも情婦ともつかない 女が二三人いて 一周忌が過ぎ三周忌も済ませ 苦労と縁が切れたと 少し若返った気がする やっと方が付きましたよと仙太郎 がこれでおりせさんと会えませんと目を見る この人やっぱり誘ってきた この先を見たい気が 2022/02/09
山内正
4
芒余ってない?隣の女房が子供がねと言い訳し帰り際亭主はまだ? 嫌な女だ 噂だけど女がいるんじゃと井戸端 声がしていた 又心が掻き乱された気がした お才は鏡の顔を見て変に醜かった 子が出来たかもとまだ言ってない おーい帰った腹減ったと声に 着物を直し これ買ってくれと芒を一杯持ち帰る 化粧して待ってたのか ばーか待ってなんかいませんよ 亭主の話をふんふんと相槌を打ち 胸の中の黒い思いが消え 日常が戻った気がしてきた2022/01/31
山内正
4
落着かない顔で間部は急に審議 中止にと鶴姫がなくなられたと後継を託そうとしてたが 水戸の反対を押通そうとしたが 綱吉の執念今となっては綱豊をと白石に言った 今思う事かと 白石と組新しい政策を考えている 若い時の運を切り開き巡って来た運を掴み上をと登ったら間部が 先の野望を言う 若者は自分を見て男の値打ちを測る それが一体どうしたのか 身の回りに起きた事だと 間部のこの先を聞けば見えてくるのか 定かではない気が2021/10/19