出版社内容情報
国を出奔し食いつめた青江又八郎は口入れ屋の周旋で用心棒稼業をはじめる。趣向ゆたかな剣客物語の名品、一部二部を一巻集成する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モトラッド@積読本消化中
36
★★★★★名作『用心棒日月抄』『孤剣 用心棒日月抄』の二篇を収録。主人公の青江又八郎、髭面の古浪人:細谷源太夫、口入屋の相模屋吉蔵、女忍者:佐知らが織りなす物語に、身も心も魅了されます。また、全集ですと、ずっしりした本の重み、上下二段の文字組みなどが相まって、じっくり噛み締めるような読み方になります。それが、とても良い読後感を引き出すようです。おなじみの向井敏氏の解説も素晴らしいです。2020/09/20
たつや
5
暮れから新年にかけて、こちらを再読。浪人、青江又八郎の連作短篇集は正月に読みたいと思わせ、図書館で借りたが、藤沢周平作品はほぼ、未読だが、本作は繰り返し読みたくなり、他の作品を借りようとすると邪魔をする。2025/01/01
オールド・ボリシェビク
4
藤沢周平全集を買い求めたのは1997年のことだったか。当時、「蝉しぐれ」に感動、取材で作家の郷土を訪ねた。その作品に魅せられ、定年後、ゆっくりと全集を楽しもうと購入したのである。あれから27年。ついにゆっくりと全集を繙く時が来た。第9巻は「用心棒日月抄」とその続編「孤剣」を収める。藩の秘密を知り江戸に出奔した青江又八郎の日々を描く連作で、そこはかとなくユーモアも漂う。時代作家として経験を重ねていく藤沢周平の横顔が見える。2024/04/19
たつや
4
藤沢周平初心者ですが、図書館で見つけ手を出してみた。時代劇は黒澤映画は好きですが、小説は初心者。手探りで手を出したが、これは読みやすい。自分は落語も好きなので、口入れ屋は現代のハローワークと直ぐ理解できた。キャラも分かりやすく、スラスラ読めた。年末に向け、少しずつ時代劇を藤沢周平を読むのもおつかも?2021/10/22
カラヤ3
1
人を斬って脱藩した青江又八郎を主人公に、口入屋を通してありつく用心棒稼業で出会う様々な出来事をいかにも藤沢ワールドらしい筆致で書いている。2021/08/15