出版社内容情報
初期士道小説名品の数々を網羅。直木賞受賞作「暗殺の年輪」をはじめ、この作家独自の藤沢調ともいうべき色彩は、ここにはじまる
内容説明
藤沢時代小説の全貌。初期士道小説名品の数数。直木賞受賞の表題作をはじめ、この作家独自の色調は、ここにはじまる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モトラッド@積読本消化中
35
★★★★★ 解説の向井敏氏によれば、藤沢文学の魅力の中で、とりわけ快いのは「その姿かたちの、よく整って端正なこと」という。全集第四巻の士道小説群を読むと、その性質からか「凛として端正な文体」が、より一層際立っているように感じる。冒頭から『暗殺の年輪』『ただ一撃』『紅の記憶』『証拠人』などの傑作が並ぶこの第四巻は、全集の中でも特に印象深い一冊となった。巻頭に、藤沢先生が神田川の水辺で寛ぐ写真が掲載されているのも、嬉しい限りである。2020/04/29
たつや
6
四巻からは士道小説が続くのかな?「暗殺の年輪」は直木賞受賞作品らしく、痛快で、面白かったです。藤沢周平は天才なんだと、やっと痛感した。これは、また、熟成させてから、再読です。2025/01/21
山内正
6
武太夫の日常は変わらない 三畳に兎の毛馬の毛小刀に台が 七ツに手習いを教えに出掛ける 再士官は容易では無いと思ってが 妻は離縁しない また米が上がると瓦版が言う 長州征伐の噂で 藩は味噌米を買占める 何故夫は瓦版を毎日見るのか 国で一揆の騒動を煽ったた牢に入った事があったが 昨日品川で騒動があったと聞く 暑く乾いた道を筵旗を押し立て 鍬をかざした百姓が押し寄せて来る筈 武太夫はそれを見たいと 2021/10/18
山内正
6
小橋の叔父が佐知に縁談話を 藤堂様の話聞きました伯母上 ずっと一つ違いの姉と思っていた 二度死に別れしている佐知 今度の縁談を勧める小一郎 今も怯える伯母に心配ないと話す 従兄弟の兵馬と青年組の訓練の話を 八月に長州征伐があり国元は秋田藩 と倒幕監視の命が出た 三年後突如伯母の嫁いだ藤堂家等が 斬首の刑が下る 一人兵馬が助かる 十三人は倒幕反対と見なし殺された 密告したのは兵馬と知る 話す後兵馬を斬った 乱心だと周りに叫んだ 藩は倒幕同盟に入った 2020/12/23
ジュール
6
どれも下級武士の物語。一番最初の「暗殺の年輪」周りのたくらみ乗せられて暗殺をし、逆にただ1人犯人にさせられる、主人公。囲みを逃れ、菊乃の元へいけるのか。「夜の城」記憶を失った蔵太。最後に記憶を取り戻し、見張り役だった三郷と逃げていく。最後の「雪明り」雪の中での久しぶりの義妹の由乃との出会い。最後に同じ雪の中を歩く主人公。しがらみを断ち切り由乃の元へ跳べるのか?2018/11/25