出版社内容情報
昭和八年、「月辰会研究所」から出てきた女官が自殺した。特高係長は謎を追うが──。満州と日本を舞台に描く未完の大作千七百枚!
内容説明
満洲に暗躍していた教祖の野望とは。自殺した女官の兄から、月に北斗七星の紋章が入った通行証を見せられた華族の次男坊・萩園泰之。「『く』の字文様の半月形の鏡」とは何か?事件の背後に見え隠れする十数年前の「大連阿片事件」の影。「月辰会研究所」の謎を追って、物語は大正時代の満洲へ遡る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼっくん
1
編集部注に本作の経緯が語られています。ノンフィクションの制約。ある程度の脚色はあるにせよ、史実であったことに驚きが。世情不安、人心不安の世の常なのか。みなまで語られなくても十分満足できる作品です。松本清張は偉大です。2018/07/11
イカ男
0
さあ、これから手の内をお教えしましょう、という段階で絶筆となり、本当に惜しい。ここから先は原武史『松本清張の「遺言」』を読んで空想したい。著者には、もっともっと「昭和の闇」を書いてほしかった。2012/06/17
sumjin
0
大著「昭和史発掘」の膨大な取材記録。その後30余年にわたり、その資料の中から清張が小説にしたいと暖めていたテーマの一つが本作品。2011/04/11
はちみつ
0
作者の筆で、結末まで読めないことは残念ではありますが、編集者に語っていたという構想が、巻末にあるので、消化不良にはなりませんでした。その点でこの長編に食指が動かないという方には一応大丈夫、と言いたいです。 新興宗教の興りとは、案外このような始り方もあるのかもしれないと思わされました。 いつの時代も人は弱く、狡く、…様々な感情に支配されて、事件は起きるのだと思います。2019/06/14
好奇心
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未完で終わってしまったが、後は読者自身がそれぞれ終章を迎えさせればいいのか、宗教・占い?を利用し人心を集め財産形成、混沌としていた時代の生き方ひとつととらえれば、満洲・阿片・宮廷・軍人・宗教入り乱れ大変な時代だった秋本伍一はどうなるのが小説としてはいいのか、実在の軍人が多く登場したのも、満洲が舞台らしくて・・・ 2019/08/16