内容説明
池沢夏樹が巡り歩いた沖縄の食の魅力。
目次
匂い立つ豆腐
グルクンの大変身
滴る透明な液体
共に食べる
シシマチの一日
ビールは風土
久高島のイラブー
御殿山のそば
黒糖の深い味
最も贅沢な果物〔ほか〕
著者等紹介
池沢夏樹[イケザワナツキ]
1945年、北海道生まれ。埼玉大学理工学部物理学科中退。75年より3年間ギリシアに滞在。87年、『スティル・ライフ』で中央公論新人賞、第98回芥川賞を受賞。93年、『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞。94年、沖縄に移住。2000年、『花を運ぶ妹』で毎日出版文化賞
垂見健吾[タルミケンゴ]
1948年、長野県生まれ。桑沢デザイン研究所で学んだ後、写真家・山田修二氏に師事。現在は那覇と東京に事務所を持ち、世界各地を舞台に写真撮影の旅を続けている
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
20
さとうきび、島らっきょう、紅芋、ゴーヤー、パイナップル、イラブー、グルクンー沖縄の様々な食材についてのエッセイ集。十年もの間沖縄に移住していた作家池澤夏樹の文章は、食材を通して、沖縄の人たち、沖縄の豊饒な文化を捉えていて、単なるグルメ本とは一線を画している。 抜けるような沖縄の夏空の中、道沿いで青と白の大きなパラソルの下でアイスクリンを売る少女、クニブーという柑橘類と白砂糖と水だけで「きっぱん」という上品で芳しいお菓子を五日がかりでつくり出すオバア。どの話にも魅力的なウチナーンチュが登場する。⇒2021/05/09
Humbaba
4
食事というのは地方によって大きく異る。特に、におhんでありながらも独特の風習を築いてきた沖縄であれば、その違いというのは更に大きくなる。現在は有名な沖縄料理の内脳幾つかは、少し前までは沖縄でも珍しいものであったということもある。そのような歴史を知ることにより、今後沖縄の料理を食べる時の楽しみが更に広がるだろう。2013/12/23
きのたん
2
ミキ(酒の原型)とソテツ味噌は食べてみたい。硬水の方が泡立つ?これぞと思うものに、シマなになにと名付けるのはとても素晴らしい感性だ。2023/11/09
林克也
1
ここに取り上げられている食では、与那国島の泡盛、御殿山の沖縄そば、渡嘉敷島のタコ、久米島のたいらの味噌、那覇のきっぽん、読谷村の紅芋、伊江島のシマラッキョウが食べたい。 池澤さんの、とんがっていない、優しさ溢れる沖縄愛。しかしもう十数年前の本だから、今行っても同じものを食べることができないのかな。 2020/04/07
skk1206
0
世界に冠たる(と思う)航空機内誌「Coralway」連載。期間は1993年から2001年。アンテナショップは出現しておらず、ネットはダイヤル接続(だからネット通販は一般的でなく)、百貨店の催事でかろうじて、くらいしか沖縄の食品に触れる機会はなかった。都内の沖縄料理屋も数軒しかなかったと思う。大量消費のために大量生産される前の記憶。食べものと人間の蜜月を記した、幸せな記録。2017/05/20