内容説明
今とは違うところに行こうとする宿命的な意志をもつ者を「小説家」とよぶ。そして小説家とは、新しいメディアに乗り越えられ、見捨てられるべき者たちではない。21世紀にいかにして「小説」を読むべきか。当代一の評論家が現代文学の真髄を抉る傑作文芸評論集。
目次
中上健次
村上春樹
大江健三郎
島田雅彦
柄谷行人
石原慎太郎
文人像の流亡―来るべき世紀の作家像
歴史とその「自由」―網野史観、その他の歴史啓蒙とその貧困
「書」の近代―石川九揚『日本書史』を読む
松永安左エ門、または闘争としての風流
あとがきにかえて―現代日本文学と「すでにそこにあるもの」
著者等紹介
福田和也[フクダカズヤ]
1960年東京生まれ。慶応義塾大学文学部仏文科卒。現在同大学助教授。1993年『日本の家郷』で三島由紀夫賞受賞。1996年『甘美な人生』で平林たい子賞、2002年『地ひらく石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞を受賞
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感想・レビュー
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ほたぴょん
1
中上健次論を冒頭に置いたのは、「現代文学」というものへのひとつの見かたを示しているようで興味深い。大江健三郎や島田雅彦について書く中にも見られる、ブレのなさを美点としてことさらに賞賛し、ブレを糾弾していく姿勢は、ある意味でマチズモ的な一貫性を称揚するということを宣言するためのポーズなのではないかと思うのだが、一方で大江の『宙返り』についてなどは、その一貫性云々とはまた別の部分で問題意識を共有しているのではないかとうかがわせるところもある。2022/05/22
ミスター
1
明らかに大江健三郎に関してテキトーなのが目立つ。ま、中上=大江主義に対する皮肉かと。2019/09/01
ニッポンの社長ケツそっくりおじさん・寺
1
読みたい所だけ拾い読み。中上健次、島田雅彦、網野善彦の所だけ。博識にはやはり舌を巻く。中上健次論は切なくてよかった。虚勢を張ってしまい、そんな自分に苛立ち、泣くのが男かも知れない。2011/11/14
KUAD
0
流し読み。ん〜どうかな。2012/02/20
aquirax_k
0
初期の著作に比べると落ちると思うけど、十分面白い。