内容説明
「熱願冷諦」を信条に、無理をせず自然体で生きる。心にしみる待望の最新エッセイ集。
目次
井の頭だより
史料を探る
出会いの数々(九篇)
一つのことのみに
オレンジ色のマフラー
エッセイは事実です
万年筆の葬送
作家と編集者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
79
吉村氏のエッセイは5作目。とにかく氏のエッセイは、衒いや気取りがないので大好きです。力作ぞろいの吉村小説からは、分からない吉村氏が見て取れます。死を間近にして、最期に食べたいものは…?と訊かれるそうですが、「アイスクリーム」と答えるそうです。また、運転免許証は持ったことがないそうです。近間は自転車で、電車以外の移動はもっぱらタクシーだそうです。頑固者らしい吉村さんです。『戦艦武蔵』など力作の誕生秘話など、吉村氏の表と裏の日常生活が書かれています。くたびれた頭を癒すには格好の1冊です。2024/05/13
り こ む ん
22
ちょっと、他のと重複しているモノもあったけど、小説は、厳しく、鋭い視線で歴史を語るのだけど、エッセイは飾らずに、穏やかな吉村さんを感じる。面白おかしくでなく、事実を感じるまま、淡々と書いてらっしゃるのが、私の好みなのかもしれない。吉村さんのエッセイを読むと静かな気持ちになれる。2014/10/07
ジュール
9
エッセイ、小説も含めて初読みの作家。 30年前の発表。 歴史小説家としての高名は知っていたが中々洒脱なエッセイ。 エッセイには真実しか書かない。 当たり前の様だが、幾分あやふやに思っていたが、吉村さんは厳密にこれを実践。 少年時代に見たアメリカの戦闘機にパイロットがオレンジのマフラーをしていたこと、これが真実だということを突き止める。 小説でも現地に赴いて実地検証をしている。 その為全国を旅している。 なかなか出来ることではない。2024/12/27
よし
5
吉村氏のエッセイを読んでいると、なぜか心が落ち着く。飾りがなく素直に自分の日常を綴っている。彼の誠実な人柄が自然とにじみ出ているようだ。あとがきにあるように、「エッセイは、人間を書くことに尽きる。」また、「エッセイの一つ一つを読み返してみると、私の生きてきた時間が蘇る。私自身、多くの人たちと生きているのを感じる。」戦争中の体験は、どれも事実を淡々と述べる彼の小説のようである。中でも、焦土の中、父の遺体をリアカーで運ぶ体験文「リアカー」は短文だけど、心ふるえるようなエッセイ。2017/07/07
りんふぁ
3
息抜きに。下調べの話が多いから、また小説が読みたくなった。2017/04/25
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- 和書
- 埋み火 〈下〉 文春文庫